昔々ある所に腕白な小坊主たちと、若い
和尚さんが立派な大きな寺で一緒に暮しておった。
小坊主たちは三人おって長男がじょなさん、
次男がじょせふ、三男が承太郎と言うのじゃった。
若い和尚さんの方はしーざーといって、ちと女人には
だらしがないが、なかなか真面目な若者じゃ。
この和尚さんと、三人の小坊主には血のつながりはないが
和尚さんはまるで自分の弟のようにそれはそれは
甲斐甲斐しく面倒を見ておった。
小坊主たちも、腕白ではあるが和尚さんのいう事はよく聞く
(※約一名除いて)いい子達じゃった。
そんなある時のことじゃ、和尚さんがいつものように
小坊主たちに免集をかけたのじゃが・・・・。


【三枚のお札と小ジョースター】


しーざー
「今日は、お前たちに大事なことを伝えようと思う。
 ・・・って、おい、あのはねっ毛のはねっ返りはどうした?」

承太郎
「ああ、馬鹿兄の事だな、呼んでくる。」

じょなさん
「すいません、本堂に集まるようにって言ったんですけど・・。」

毎度毎度のことに坊さんはため息をついた。
ほんに毎度毎度の事なのじゃが、三人の中でも
このじょせふという小坊主だけはどうにも自由奔放で、
和尚さんのゆう事をなかなか聞かんのじゃった。

一方、どこにいるかなんとなく目星がついている承太郎が
寝室をひょいとのぞくと、じょせふは案の定布団の上に
寝ころんでおった。

承太郎
おい、はねっけのはねっ返りのおたんこなすの
 みそっかすのスカポンタンの馬鹿兄、何やってんだ
 早く本堂にこい。」

じょせふ
「何だよ!兄に対してその呼び方!」

承太郎
「和尚さんがこう呼んでたぜ?」

じょせふ
「嘘おつ!後半の悪口はお前のオリジナルだろ!」

承太郎
「どうでもいいから早く来い、言い訳は和尚さんにしな。
 ジョナ兄だって待たせてんだぜ、人の迷惑考えろ、馬鹿兄。」


と・・・こんな風にいっつも喧嘩をしながら承太郎は
じょせふを連れていくのじゃった。
そうしてじょせふは、いつものように和尚さんに説教を食らうのじゃ。
毎日毎日懲りずにこれの繰り返しじゃ、ほんに困った小坊主じゃて。

さて、それはそうと和尚さんが今日皆を集めたその訳じゃが
最近裏山に恐ろしいやまんばが出るという噂を耳にしたそうで
小坊主たちに裏山に行くなと注意を促したかったという事じゃ。

しーざー
「以上だ、判ったな?特にそこのはねっ返り。」

じょせふ
「うーい・・・。」

和尚さんは一番聞かん坊の小坊主によーく言い聞かせると
三人を朝食の準備に取り掛からせた。
その後は経を唱えたり、掃除したりと小坊主たちも
忙しい時間を送っておった。

そして小坊主たちが休憩時間に差し掛かろうとしたときじゃ。
長男のじょなさんが何やらきょろきょろと辺りを見回しておるので
妙じゃなと思い承太郎が何事かと尋ねる。。

承太郎
「ジョナ兄、探しもんか?」

じょなさん
「ううん、探し人。」

承太郎
「馬鹿兄のことか?ほっとけばそのうち出てくるぜ。」

じょなさん
「そうなんだけど、さっき言った裏山の
やまんばの事がひっかかって・・。」


やまんば。
さっき和尚さんが言っておった、裏山に出現する恐ろしい魔物。
若い人間が特に好物で、奴らに会うた者で
生きて帰った者は誰もおらん。
じゃが裏山には木の実や果物がたわわに実り、
足を運ぶものが絶えん。
愚かなことに勇気試しで足を運ぶものさえもおる。

承太郎
「・・・・やりそうだな、馬鹿兄なら・・・。」

じょなさん
「和尚さんがお勤めでいないから、相談できないし・・・・。
 そこでね、僕が見てこようと思うんだ。」

承太郎
「やめとけよ・・・っていいたいが、
 明るいうちならまだ大丈夫かもしれねーな。
 じゃあいくか・・。」

じょなさん
「あ、承太郎はお寺で待ってて、和尚さんが帰った時
 誰もいなきゃ、そのほうが不安になるだろう?」


じょなさんのいう事も最もじゃが、一人で行かせるのも
どうにも不安でならん。
仕方がないので承太郎は「二時間以内に戻らなければ
自分も向かう」とじょなさんに伝え、その背中を見送った。
じょなさんが見えなくなるまで見送っていた承太郎じゃったが
突如聞こえる雷の音に、不安そうに空を見上げる。
するといつの間にやら、薄暗い雲がどんどんと
青い空を覆いつくし
当たりはみるみる灰色一色となってしもうた。

こりゃあ一雨来るかもしれん。

じょせふもじょなさんも体が丈夫じゃから、
雨に打たれたくらいで大事には至らんじゃろうが、
どうにも嫌な予感がしてならん。
そこで承太郎は書置きを残して、自分も行こうと筆と紙を探す。
丁度菓子を入れる器の下に紙がはさんてあったので、引っこ抜くと
それは既に何か書かれためも用紙じゃった。
そしてその内容はこうかかれておった。

【親愛なるにいちゃんへ
 シーザーちゃんに連行されて檀家へ行くことになった。
 すぐ帰ると思うけど、お菓子取っておいてね。
 愚かなる弟にもその旨伝えてください。けなげなジョセフより。】

承太郎
(ち・・・!裏山にいったんじゃねーのか!)

これを読んだ承太郎はいてもたってもいられなくなったのじゃろう。
メモの裏側に書置きを残すと、飛び出すように
じょなさんの後を追いかけた。

そのころ、裏山の中腹までやってきたじょなさんは
突然降ってきた激しい雷雨を避けるため木陰で様子を伺っておった。
降りしきる雨をぼんやりと眺めていると、向こうから
誰かがちかづいてくる。じゃが残念ながらその姿は
じょせふではなく、一人のうら若い男じゃった。

じょなさん
「あ・・・貴方も雨宿りですか?」

でぃお
「・・・・・・・。」


じょなさんの問いに男は何も答えんかった。
見たことのない男じゃが、頭の毛色は和尚さんと同じ色で
瞳はとても珍しい赤い色をしておった。
美しい顔立ちじゃがどこか魔物を思わせるその妖しげな風貌に
じょなさんはごくりと息をのむ。
まさか、最近噂になっているやまんばじゃなかろうか?
しかし山姥というのは、年老いた女人の事じゃ。
目の前の男は若いし、よぼよぼの体どころか
鍛えあげられた瑞々しい
体をしておるし、山姥のはずがない。
何やら無口な男らしいが、じょなさんは
取り敢えず自分の名を名乗ることにした。

じょなさん
「僕はジョナサンです。あなたは?」

でぃお
「・・・・ディオだ。」

じょなさん
「(よかった・・・ことばは通じるんだ。)よろしく・・。
 あの・・あなたはここら辺に住んでいるんですか?」

でぃお
「まあな。」

じょなさん
「あの・・・でしたらここらへんに僕位の年の頃の
 少年が来ませんでしたか?探してるんですが・・・・。」

でぃお
「そいつは何者だ?」

じょなさん
「僕の兄弟です、弟なんです。年は同じなんですけど・・。」

でぃお
「お前に似ている奴なら見かけたぞ?」

じょなさん
「本当ですか!?ど・・どこにいましたか?」

でぃお
「くっくっくっ・・・こっちだついてこい。」

男はそういってじょなさんを手招きすると
じょなさんは嬉しそうに男の後をついていった。

その数十分後、承太郎が息を弾ませながら
じょなさんがいた中腹辺りにやってきた。

承太郎
「くそ・・・・ジョナ兄がいねーな・・・。
 たのむから山姥に遭遇したとか言わないでくれよ・・・。」

乱れた息を整えるために取り敢えず傍の
大木に寄りかかり腰を下ろす。
どうやら走って登ってきたせいでいつのまにか
脹脛に傷をおってしもうたようじゃ。
あとからあとから流れてくる血を大量の雨が洗い流す。
大した傷ではなさそうじゃが、それでも承太郎の鼻に
血の匂いが、かすかに纏わりついた。

承太郎
(・・・気を付けねーと・・・オオカミに
 嗅ぎつけられたらお終いだ。)

まずは止血をしないといけないと、承太郎は
余分な布がないか自分の身に着けている着物を確認する。
そんな時、頭上からふいに何者かの声が降り注いできた。

DIO
「ケガをしているな・・・。」

承太郎
「!?」


承太郎が驚いて顔をあげると、この辺では珍しく背の高い男が
承太郎を見下ろしておった。
髪の色と目の色は金色、体は逞しく獣のような鋭い眼光。
無論山姥じゃあなかろうが、どことなく普通の人間とは
違うものを感じ承太郎は思わず身を強張らす。
すると男は何を思ったか承太郎の傷口にいきなりその手を当ててきた。

承太郎
「いっ・・・!」

DIO
「ほう・・・・これは・・・すばらしい。」

触られた瞬間わずかな痛みを感じ、
眉を顰める承太郎と対照的に
男がうっとりとした表情で傷口に当てた手を見つめる。
驚いたことにその手には血の跡が全くなく、承太郎の
脹脛の血もいつの間にやら布で吸い取ったかのように、
綺麗になっておった。いぶかしげな表情で承太郎は男を見る。
この男は自分の傷を治してくれたのじゃろうか。
しかし男が言った「素晴らしい」とはなんのことじゃろう。

承太郎
「おい・・・・素晴らしいって何だよ。」

DIO
「ん?ああ、それはお前の血の事だ。お前の血は
 今まで吸った人間の中で
 素晴らしく優れていると言ったのだ。
 まあ早く言えば俺によくなじむと言った所か。」

承太郎
「・・・よく判らねーが、あんたがやばい奴
 だってことは判ったぜ。」

DIO
「あの小僧の血も素晴らしかったが・・・
 お前のも同じくらい素晴らしい。
 あの小僧は弟を探しに来たと言っていたが
 お前のことじゃなさそうだ。
 しかしお前もあの小僧と繋がりがあるのだろう?
 同じ血の感じがする。」

承太郎
「なに・・!まさかジョナ兄!おい!何をしたんだ!」

DIO
「ほう、やはり兄弟か。安心しろ、今のお前と
 同じくらいに元気だ。
 ただ・・・俺の弟がアイツを痛く気に入っていたからな。
 あれから勝手に吸ったりしてなければいいが・・・。
 ククク…どうする?来るか?それとも逃げるか?」

承太郎
「ちっ・・・答えなんか聞かなくても判ってるくせによ。
 しょうがねえ・・挑発に乗ってやらあ・・・。」

こうして半ば脅されるようにして承太郎は男についていく。
山のてっぺんまでたどり着くとボロボロの山小屋が見えてきた。
その中から聞き覚えのある声と、目の前に
いる男と似たような声が聞こえてくる。

でぃお
「こら!逃げるな!ちょっと一噛みさせろと言っている!」

じょなさん
「何言ってんだ!そんな痛そうなこと
 されたい奴なんかいるもんか!」

DIO
「な?元気だろ?」

承太郎
「・・・・元気だがピンチなのは変わらねーようだな。」

DIO
「仕方のない弟だ、あれほど我慢しろと言ったのに。
 おい、約束しただろう?今日はあれでお終いだ。」

でぃお
「ちっ・・・兄さん、帰ってきたのか・・・。
 くそ・・・お前運のいい奴だな・・・。」

承太郎
「ジョナ兄!」

じょなさん
「承太郎!」

ようやく再開できた二人はお互いの無事を確かめ合い安心をする。
しかし安心したのもつかの間、承太郎を連れてきた男に
扉を閉められ部屋の中に閉じ込められてしまう。
しばらく抗議をするが相手にされず、じょなさんたちは
とにかくこれからどうするかをよく話し合うた。

じょなさん
「あの二人は吸血鬼だよ。いや、もう一人いたから三人かな?
 全くびっくりしちゃったよ・・・。
 中に入ってもジョセフはいないし
 似たような男がもう一人出てきて、僕の血を吸うし・・・。」

言いながらジョナサンは腕をまくって承太郎に見せる。
そこには何か鋭いものでひっかいたような傷があった。
これは別にあの二人に付けられたものではなく、
山を登る最中にケガをしてついたものじゃという。

承太郎
「俺も吸われたぜ、ただ想像していた吸い方とは違っていたがな。
 ところでジョセフの馬鹿兄の事だが、和尚さんと檀家周り
 しにいったみたいだぜ、まさに骨折り損のくたびれ儲けだな。 」

じょなさん
「そうか、それはそれで安心したけどこれからどうしよう。
 このままだと二人が心配して探しに来ちゃうかもだね・・。」

辺りを見回すが他に出れそうな出口はなく、二人は途方に暮れた。
一方居間では金髪の吸血鬼兄弟がさっきのことで言い争っておった。

でぃお
「何故だ!兄さん!俺はもっと血を吸いたい!
 殺さなければいいんだろう?
 あいつの首にかぶりついて、怯えた表情を眺めながら
 俺は血を吸いたいんだ!」

DIO
「お前が楽しみたいのは判るが・・・、
 アイツの意見も聞かねばならんだろう。
 俺はずっと小僧共の血が吸えるのなら
 どのような方法でも構わん。
 とにかく待て、アイツが帰るのを・・・。」

やはり吸血鬼の仲間がまだおるというのじゃろうか。
「兄」と呼ばれる男が格子窓から外を眺める。
ところであれからじょせふはどうなったかと言うと
ようやく和尚さんと檀家周りを終え、
ブツブツ言いながら帰路についておった。

じょせふ
「ちぇーーお菓子とか食えると思ったのに断りやがって・・。
 しかも三十分近く正座させやがって、死ぬかと思ったぜ!」

しーざー
「当たり前だ、お前に罰を与えるために連れて行ったんだ。
 いい思いをさせてどうする。だがよろこべ、帰ったら
 足と肩を揉んでもらうからな。風呂炊きも飯の
 準備も今日は全部お前の役目だ。」

じょせふ
「鬼だ!山姥より性質悪くね!?」

ぶつくさ言いながらもようやく寺にたどりつく。
小腹のすいたじょせふは、和尚さんに厄介事を
頼まれる前にと菓子を食べに行く。
しかし菓子は置いてあるものの、二人の姿が
どこにも見当たらん。じょせふは菓子をほおばりながら、
辺りをキョロキョロと見渡した。

じょせふ
「ん?あの二人がいねーじゃん・・・承太郎はともかく
 兄ちゃんはいつも声かけてくれるのに・・・。あれ?この紙
 俺が書いた・・・あ、違う、これ承太郎の字だ!」

じょせふはその内容を見て思わず手にしていた菓子を床に落とす。
なんということじゃろう、あの二人が裏山へ行くと
そこには書いてあったのじゃ。
慌ててじょせふは和尚さんに相談しに行く。
和尚さんもまさかの事態にその表情を曇らせた。

しーざー
「しまった・・・まさかあの二人がそんなことを
 するなんて・・・。お前ならともかく・・・。

じょせふ
本人の目の前でそれを言う訳?とにかく
 俺のせいらしいから助けに行く!」

じょせふはそういうと勇ましく立ち上がる。
和尚さんも大層不安は残るものの、誰かが寺に
残っていないといけないので苦渋の判断の結果
寺で待つことにしたんだと。
そしてじょせふにもしもの事があった時の事を
考えて三枚の札を託したんじゃ。
これは少し前に和尚さんが美しい尼僧から
ゆずり受けたという退魔の札じゃという。
危なくなったらかならず使えと念押しをすると
じょせふを見送った。 


じょせふが寺を出るころには空は、
すでに夕焼けに染まっておった。
夜になったら危なくなる、じょせふは急ぎ足で山を登っていく。
そしてやはり中腹辺りに来ると、向こうから人影が近づいて来る。
髪が長いので山姥かと注意して木の陰からその様子をずっと伺う。
しかしその姿は老婆などではなく若い男のようじゃった。

じょせふ
(なーーんだ、若い男じゃん、・・・でも待てよ?
 山姥って変身できるってなんかの本で読んだことある。
 気を付けないと・・・。)

かーず
「其処の小僧、何を隠れている。」

いきなり声をかけられびっくりして飛び跳ねる。
じゃが、そのまま逃げるのも怪しまれるので、
ジョセフはあえて冷静に男の質問に答えることにした。

じょせふ
「別に・・・ここら辺には山姥が出るっていうから
 警戒していただけだぜ。」

かーず
「まさか俺を山姥と見間違えたわけではないだろう?」

じょせふ
「山姥は変身できるって聞くぜ?」

かーず
「じゃあ、お前も怪しいのではないか?」

あっさりと言い返されぐうの音も出なくなる。
男のいう事は確かに的をえておるのじゃから。
しかし、これで男は山姥だという可能性が薄くなった訳じゃ。
すっかり気を許したジョセフが今度は
いなくなった兄弟について尋ねてみる。
すると意外にも男はその二人は道に迷い
山小屋で待っていると丁寧に教えてくれた。
しかもじょせふの事を探して道に迷った二人を
山小屋で保護をしとるというのじゃ。
じょせふはすっかり男の事を信じ山小屋までついていった。
そしてその結果・・・。

かーず
三人目のいけにえゲットだ。

じょせふ
いけにえ!?

DIO
「ごくろう。ジョセフとかいう小僧で間違いないな?」

かーず
「違いない、血を吸うか?」

DIO
「残念だがどこもケガをしていないようだ。
 取りあえず兄弟のいる部屋へ閉じ込めておけ。」

兄と呼ばれる男が促すと髪の長い若い男は、
ギャーギャー騒ぐじょせふの襟首をひょいとつかむと
兄弟たちのいる部屋へとポイと投げ入れた。
既に閉じ込められていた二人は感動の再開に
喜ぶやらあきれるやら。

じょなさん
「ジョセフ・・・なんて言っていいか・・・その。」

承太郎
「何で直に言わねーんだよ。言ってくれりゃあ
 探さずに済んだのに・・。」

じょせふ
「だって二人ともいねーんだもん・・・。シーザーちゃんは
 早くっしろてせかすし・・・・。」

承太郎
「まあ、済んだことはしょうがねぇよな、
 どうやったらここから出れるか考えないと。」

じょなさん
「トイレ行く隙とか、水を飲む隙とか考えたんだけど
 この部屋に全部そろってんだよね。」

承太郎
「それにもし外にあっても二人そろっていくのは
 怪しまれるだろ?
 一人は残れって絶対言われるし、もし一人だけ逃げたら
 もう一人が何されるか判ったもんじゃねえ。」

じょせふ
「俺らどうなるの?いけにえとか言ってたけど殺されるの?」

じょなさん
「吸血鬼たちがいう事には僕たちの血が気に入ったから
 ここにずっと置きたいんだって。
 殺したら血が吸えなくなるからそれはないんじゃないかな。
 でもそんなこと言われたって困るよね、
 僕らは僕らの生活があるし・・・。」

と、小僧たちがのんきなことを言っている間、
吸血鬼たちは恐ろしい事を話し合っておった。

かーず
「ほう、ならお前らはケガしたついでに
 血を吸い取っていたというのか。
 ずいぶんと甘いのだな・・・。」

でぃお
「ほら見ろ!だから言ったろ?
 一噛みや二噛みして何が悪い!」

DIO
「だが恐怖を与えすぎると人間というものは
 死を選んでしまうだろ?死んだ人間の血など美味くない。
 生かさず殺さずで出来るだけ長く小僧共の
 美味い血を吸っていたいだけだ。」

かーず
「そんなに美味いのか?」

DIO
「美味いな、どんな絶世の美女の血よりも。
 多分あれ以上の血はない。」

でぃお
「まあ、健康なガキだからな・・美味いな。
 それより俺は個人的にアイツが気に入った。
 あの最初に出会った小僧が・・・・。
 ところでお前はどうなんだ?」

かーず
「そうだな、俺的には大好物なのは
 吸血鬼の血なのだが・・・。人間の血も
 まあ好物だし、俺が捕まえたあのガキも
 いたぶりがいがありそうだ。」

DIO
最初の問題発言だけは聞かなかったことにしておこう。
 そうだな、多少なら傷つけるのはありか、
 それはそれで別の楽しみが増えそうだし。」

吸血鬼たちはクククと不気味に笑いながら
小僧たちを閉じ込めている部屋を見つめる。
果たしてこれからどうなってしまうのか。

つづく










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