「う・・・う・・ん。」
体の痛みに耐えかね、ジョナサンが呻き声を漏らす。
自分は一体どうしたのだろうか、確か攫われた少年(なかま)を
DIO達から取り戻すため敵の本拠地に一人乗り込んで行ったはずだ。
ジョナサン一人で虎穴に足を踏み入れなければならなかった訳。
それは相手が「脅迫」したからだ、ジョナサン一人で来るようにと。
きっとこれは罠だろう、しかし勝ち目は薄くとも、
ジョナサンの性格上黙って見過ごす事は出来ない。
しかし他のメンバ―には内密にしなければならない。
何故ならそれも「脅迫」のうちだからだ。

(ここがDIO達の・・・。)

目の前に佇む、まるで研究所の様な大きな建物。
ドアはない、だがその代わりに時空の歪みの様なものがある。
ジョナサンは迷わずその歪に手を入れる。
そしてひずみはあっという間にジョナサンの体を飲み込んだ。

目を開けるとそこにに広がるのは高い天井に広い部屋。
飾り気のない四方を囲む白い壁。
てっきり大勢の敵が待ち受けていると思いきや
まわりは誰もいない。例え隠れていても波紋の流れで
敵の位置がわかる。波紋を完全にものにした
ジョナサンだからこそできる術だ。
それでも、まだ見ぬ敵に警戒を怠らず、
一歩一歩踏みしめるジョナサンに向かって誰かが近づいて来る。
堂々とした振る舞い、凄まじい威圧感を身に纏った姿。
そう、ジョナサンがよく知っている男。
ディオのなれの果て、神と呼ばれる男、進化したDIOだ。

【汝の敵を愛せ 前編(ジョナサン編)】

目の前の男は強大な威圧感を纏っていて
誰もが一瞬怖気づいてしまうが、ジョナサンは臆することなく
目の前の男を睨みつける。

「DIO・・・・・。ジョルノはどこだ。」

「そう急くな。まずは挨拶と行こうではないか。」

目と目が合い、白々しい挨拶を交わす。それから
まずは腹の探り合い、挑発、最終的に拳を交えるまで
そんな時間はかからなかった。しかし勝負はあっさりついた。
あまりにも強すぎたのだ。進化したDIOの力が。

ジョナサンは瀕死手前まで追い込まれ、気づいたら
大きな部屋にポツンと佇むベットの上で寝かされていた。
自分を束縛するものは何もないが、瀕死手前まで
痛めつけられた体ではどうすることもできない。
その上、自分の体は何も身に着けていない非常に
無防備な状態になっており、ますます窮地に立たされたことを
思い知らされる。

ジョナサンは波紋を体に巡らせながら必死に回復を試みる。
少しづつだが力を取り戻すしかない。
幸い、今は誰もいない。意識を集中させ回復に専念する。
ふとシーツに目をやると金色の髪の様なものが数本落ちて
いるのに気づく。DIOたちの物だろうか。
手に取ってそれをしげしげと眺める。
次は枕からチラチラ見える赤いものが目に入る。
そこには見たことのある赤いブローチ、そう天道虫の
ブローチだ。もしかして、あの少年は自分と
同じようにこのベットの上に寝かされていたのだろうか。
そう思うと、いてもたってもいられなくなったのか
ジョナサンはふら付く体を奮い起こし、よろよろとはだしのままで
自分のいる室内を調べて回る。辺りは薄暗く、人間である彼の目には
何も映らない。その時いきなりパッと電気が付き、驚いて
振り向くと、ついこの前までジョナサンと死闘を繰り返してきた
ディオが不敵な笑みを浮かべながら立っていた。

「いい格好だな、ジョジョ・・。」

「・・・ジョルノはどこだ。」

自分の事より、まず仲間のことを心配する相変わらずの
お人好しなジョナサンに呆れながら、ディオは後方を指さす。
するとそこにはさっきまでは暗くて見えなかったが
ガラス張りの一室に見たことのある少年が囚われているのに気づく。

「ジョ・・・!!」

金髪の少年はジョナサンと同じようなベットに腰かけて
うなだれたように首を垂れている。ジョナサンと同じで
一糸纏わない姿になっていて、肩まで伸びた前髪に隠れて
その表情はどうなっているかここからでは窺い知れない。
ジョナサンは迷わず近づこうとするが、ディオに邪魔される。

「貴様・・・!!彼に何をしたんだ!!」

「「俺」は何もしていない。」

小馬鹿にしたような顔で「俺は」と強調するディオ。
まるで他の人間は手を出したような言いぶりに
ジョナサンは怒りを覚える。

「彼はまだ子供なんだぞ!!彼を解放しろ!!」

「「その代わり俺が身代わりになってやる・・」か
 ?ジョジョ・・・。それは許可できないんだよ。
 何故なら、アイツがそれを望んでないからな・・。
 だが・・・。」

そういうが早いかディオはいきなりジョナサンのわき腹に
爪を突き立て、急激に血を吸っていく。

「お前が身を差し出すと言う申し出は喜んで引き受けよう。」

あまりにも急激にすわれ
ジョナサンは立っていられなくなり、がくんと膝をつく。


「お前の血は最高だな、ジョジョ。だが安心しろ。闇の亡者に
 する気はない。俺はその呆れるほど正義感の強いお前が
 気に入っているんでな。」

ディオは含み笑いをしながらジョナサンの髪を鷲掴みにすると
引きずるようにジョルノが囚われている部屋の前まで連れていく。
そして大きな窓にジョナサンの両手を添えさせ、
背後から耳元で囁いた。

「ジョジョ・・・俺が今からお前にすること・・
 なんとなくわかってるよな・・・?」

悪意のこもった低い声で囁かれジョナサンの体が総毛立つ。
以前からディオのジョナサンに対する狂った感情は
うすうす気が付いていた。
ディオは自分に対し歪んだ執着心を持っているという事を。
欲しくて欲しくてたまらないものが手に入ったのだ。
やることは既に決まっている。
いつかは覚悟していた、こんな日が来るのではないかと。
しかし・・・。

「や・・止めるんだ!!こ・・こんな所で!!」

「こんな所とは・・?ああ、小僧の前でやると
 いうのが嫌なのか?」

皮肉っぽく笑うディオに、ジョナサンの願いを受け入れる気はないだろう。
ジョナサンもなけなしの体力で抵抗を試みるが、
吸血鬼の力に叶うはずもなく
体中をなすが儘にまさぐられる。

「大人しくしろよ、ジョジョ・・・。」

「誰が・・・・っ!!」

血を瀕死手前になるまで吸いつくしたのにジョナサンの力は
まだ緩まない。諦めの悪いジョナサンにディオは
イラついたように耳元で囁く。

「ジョジョ・・・俺にお約束の脅し文句を言わせたいのか?
 お前が逆らうというのなら、あの中の小僧がひどい目に遭うぞ?
 あの小僧はいま、スタンドとやらが使えない非常に無力な状態だ。
 何ならあの中に、色事に飢えた野獣共を放り込んで
 やろうか・・・?おもしろいショーを見ることができるぞ?」

「ぐ・・・!」

ギリギリと奥歯をかむジョナサンを見て、ディオは楽しそうに笑う。
ようやくジョナサンをものにすることができる。笑わずにいられようか。
ディオはさっきの続きとばかりにジョナサンの体を愛撫し始める。

「・・・あぐっ!!!ディオ!!頼む!あっちの・・
 あっちのベットでやってくれ・・・!!」

襲い来る快感の波に耐えながら、ジョナサンはディオに懇願する。
目の前のジョルノはまだ気づいていないが、もし気づいたら
どうなってしまうのだろうか。ディオに慰み物にされている
自分を彼が見たら・・そう考えると頭の中が真っ白になる。

「なぜだ?別にいいじゃあないか・・。大人が愛し合っている
 所を見せたって・・・。」

「なにが・・愛し合ってるだ・・・!!」

「ほう・・愛し合ってないのに感じるお前は何だ?
 ただの淫乱か・・・?」

ディオは含み笑いをしながら胸の突起を弄りまわす。そのたびに
ジョナサンの体が小さく跳ねる。ジョナサンの下半身も
次第に熱を帯びて、性器が少しづつ固くなっていく。

「た・・・頼むから・・ここでは・・止めてくれ・・!」

「断る。あの小僧の為に俺に懇願するお前の態度が気にいらない。
 ククク・・立つくらいの体力は残っているんだろ・・?」

ジョナサンの肩越しから顔をのぞかせながらディオは
半分勃ち欠けている性器に手を伸ばす。そのままゆっくり
しごき始めるとそんなに時間もたたずに、性器から
精が少しずつこぼれ出していく。

「や・・・っ・・やめろっ!!」

「ジョナサン・・前を見てみろ・・・。」

ディオに促されるままに前を見ると、いつ起きたのかジョルノが
窓越しにこちらを凝視している。ジョナサンは思わず、大声で叫ぶ。

「み・・見ないでくれ!!!たのむ!目をつぶってくれ!!」

顔を赤くし羞恥に震えるジョナサンを煽る様に
ディオはいやらしく耳元で囁く。

「無駄だ、ジョナサン、こっちからの声は聞こえない。
 しかしよかったじゃないか・・みだらな喘ぎも厭らしい音も
 聞かせたい訳じゃないだろう?なあ、このままいくとどう
 なると思う?小僧の前で、お前の精をぶちまけることになるぞ?
 窓越しだから本当にかけることはできなくて残念だが、
 窓に飛び散るそれを見て、小僧はどう思うかな?」

「や・・・やめ・・!」

どこにそんな力が残っていたのか、ジョナサンは必死で
あがき、ディオを押しのける。しかし結局また抑え込まれ
そのままディオの熱く猛った性器をジョナサンの中に
押し込まれる。

「うわぁああ!!」

その衝撃で一瞬萎えるものの、すぐに硬さを取り戻し
その先端に精を滲ませていく。後ろで激しくつかれ
前をこすられ早くも達しそうになるが、目の前にいる
少年の前で果てることは絶対に避けなければならない。

「やめてくれ!!止めてくれ!!た・・頼むから!!
 ディオ・・・ディオ!!」

「ジョナサン?どうしてほしい?止めてくれ以外の事を言ってみろ。」

「あッ・・・あっ・・・飛ばしたくない・・!
 飛ばしたくないんだ・・・っ!!」

顔を伏せて決してジョルノを見ないようにして一生懸命耐える。
ディオはいったん動きを止め、ジョナサンの腰を掴んでいた
片方の手を胸の飾りに滑らせる。そのまま優しくこね回し
引き続き先ほどとは違う快感を呼び起こさせる。

「なら我慢すればいいじゃないか、なあ?ジョジョ。
 お前の根性をもってすれば、簡単な事だ。」

胸を弄りながら、再び腰に力を入れる。
冗談ではない、自分の反り返ったものは爆発寸前で
少しの快感でもはじけ飛ぶだろう。
ジョナサンは手の平で覆って飛び散らないように片手を
性器を隠そうとする。しかしそれを見ていたディオに妨害される。

「勝手な真似はするな。」

「た・・頼むから・・散らしたくないんだ!!」

「なら、俺が掴んでやろう。飛び散らしたくないんだろう?」

そう言うとディオはおもむろにジョナサンの性器を掴む。
その衝撃で飛ばしそうになるが、それこそ自前の根性で耐える。
しかしディオは掴んだまま行為に及ぶのかと
思いきや上下に激しくそれをこすり始める。

「や・・・止めてくれ!!約束が・・違う!!」

「心配するな、飛ばさないように蓋をしてやる。」

ついでにとばかり腰を揺らす、そしてジョナサンの性器を
握る手の親指で先端の穴の蓋をする。吹き出しそうになる
欲を急激に止められ、苦しさのあまり涙が滲む。



「ふ・・塞ぐのは止めてくれ!見えないように手で
 かっ・・カバーをし・・してくれっ!!」

「甘えるんじゃあないぜ?それに頼み方ってもんが
 あるだろう?それが言えるまで熱の開放は
 お預けだ。最も俺はその間行為を止めてやる気はないがな。」

冷たく笑いながらディオはジョナサンの亀頭を指で
ぐりぐりと押しつぶしながら腰を激しく打ち付ける。

「うあっ・・・あ・・・はっ・!!」

苦しくて苦しくて汗と涙が顔を濡らしていく。霞む視界の前には
ジョルノが自分を見ている。どんな表情で見ているのか
窺い知れないがそこまではとても確認できない。

「ジョジョォ!もっと腰をあげなッ!お前の我慢している
 アレが見える位にな!」

そう言うとディオは思い切り腰を突き上げジョナサンの片足を
持ち上げる、嫌でもさらされる反り返った性器。
体中が燃え上がるような羞恥に晒されジョナサンは思わず悲鳴を上げる。

「うわぁああああ!」

「締め付けが更によくなったな、ジョジョ!
 最高に気持ちがいいぞッ!可哀想になァ、イケなくて
 苦しいだろうよ、俺だけイかせて貰うぞ。」

ディオが言うと同時に熱いものがジョナサンの奥に放たれる。
しかしそれで終りではない。快楽地獄はまだ続く。
ディオの精がジョナサンの体の奥を埋め尽くすまでひたすらに。
何度も意識を手放しそうになりながらジョナサンは何とか最後まで
この地獄に耐え続けようと努力したが、結局我慢は続かなかった。
とうとう、苦しみに負けて熱を放ってしまった。
ディオに無意識に懇願してしまったのだった、熱の開放を。
勢いよく窓に飛び散るそれ。ようやくディオは満足したのか
ジョナサンの体の奥から性器を引き抜いた。
ジョナサンの奥から留めなく白い液体があふれ出る。しかし
それを拭う気力はジョナサンには残ってなかった。

「激しくやったようだな、もういいだろう。」

背後から聞こえるディオの声、いやこの声は違う。
同じようだがジョナサンには分かった。これはDIOだ。
先ほど戦って、力の差を思い知らされた神の力を得たDIOだ。
DIO目線を合わせようとしない過去の自分に、問い詰める。

「俺の息子を勝手にこんな所に閉じ込めたのはお前か?
 どういうつもりだ、勝手な事をするな。」

「そうだ俺だ、ジョジョを辱めてやる為だけに連れてきた。
 しかし連れてきて少し失敗だったと思ってる。」

自分のしたことに別段悪びれる様子もなく、ディオは
窓の向こうの少年を睨む。なぜここに連れてこられたのか
外で何がおこっているのか全く分からないジョルノにとって
いい迷惑の意外の何物でもない。

「この小僧の為にジョジョが言いなりになるのが
 少し腹ただしく思えてきた・・・。俺とジョジョのガキじゃ
 なかったらとっくに殺している所だ・・。」

突然のディオの発言に薄れかけていたジョナサンの意識が
呼び戻される、今この男はなんといったのだろう。

「な・・・なんて言ったんだ?今・・・。」

「・・・・お前知らなかったのか?お前の子孫たちは
 随分冷たいんだな・・・。この小僧はこいつの息子
 だという事は知っているだろう?」

ディオは呆れたように後ろにいるDIOを指さす。
たしかにジョルノは自分で言っていた。「DIOは僕の父です。」と。
しかしジョルノの肩には星のあざ、ジョースター一族の証である
星のあざがある。彼にその事を聞いたら、黙ってDIOの写真を
見せてくれた。確かに彼の肩にも星のあざが付いていた。
どういう事かわからず子孫たちに尋ねるも皆口を
揃えて知らないと言っていた。老いた孫ジョセフと承太郎を除いては。

あれから何度もジョセフに尋ねたけど結局彼も
困ったように笑って真実を教えてくれなかった。
笑いながらもどこか悲しそうな表情の彼を見て
ジョナサンもこれ以上質問を続けるのを止めたのだった。

「老いたお前の孫は知っているはずだが・・。
 言いたくなかったのだろうな・・・。だが俺は
 あえて言おう。俺の体はお前の体からできている。」

「!?ど・・・どういうことだ・・・!」

ジョナサンはDIOに問い詰めるが彼は答えてくれない。
縋る目でディオを見ると、未来の自分に代わり代弁する

「・・・俺はどうやらお前の体を手に入れるらしい。新しい
 肉体としてな、理由や時期は教えてくれなかったがな。」

「お前たちの運命に左右することだ。体を手に入れた過程や
 時期は教えられない・・・。」

彼に言われなくても本当はわかっていたかもしれない。
DIOが今も生きているという時点ですでに。
彼が生きているという事はジョナサンが止めを
刺せなかったという証だ。それだけでもショックな事実なのに
さらに自分の体を奪われる未来が待っている。それは一年先の
事かもしれないし、もっと後かもしれない。ひょっとしたら
数か月後かもしれない・・。自分がいつ死ぬかという心配よりも
残された人間たちはどうなるのか、ジョナサンはそれが一番
気がかりで仕方なかった。
不意にコツコツと窓を叩く音がしてそちらを振り向くと
ジョルノが中から叩いていていた。彼が今何を思って
いるのか分からない。たとえ軽蔑しているとしても
ジョナサンはジョルノに近づかずにはいられなかった。

「ジョル・・・ノ・・・。君は・・君は僕の・・・。」

ジョナサンは今の自分の姿も忘れ、フラフラと窓の中の少年に近づく。
不思議だとは思っていた、ジョルノの中にディオの面影を
感じながらも、それ以上に自分と近いものを感じる時がある事に。
ディオの息子なのにどうしてか分からなかったが、これで納得できる。
この子は残念ながらジョナサンの想い人から生まれた子ではないが
間違いなく自分の遺伝を受け継いで生まれた子供だ。
もっと近くで自分の息子を見てみたい。出来るなら抱擁を交わしたい。
しかしジョナサンとジョルノを隔てる窓には、屈辱の跡がはっきり
張り付いている。慌ててそれを拭おうとすると、DIOにその手を掴まれる。

「は・・はなせ!!よくも・・よくも息子の前で・・
 子供の前で・・お前たちは・・お前たちは最低だ!!」

顔を赤くし、その瞳に怒りの涙をためながら
今にも噛みつかんばかりのジョナサンを見下しながら
ディオは鼻で笑う。

「はっ・・・自分から解放を求めたくせに・・・。
 俺に解放してほしいとお願いしたのは誰だ・・?」

下種な挑発に怒り心頭したジョナサンが感情に任せて
殴りかかろうとする拳をDIOが止める。
血も抜き、体力の限界も近いわりにはジョナサンの力は
あまり衰えていない。それこそ怒りだけが彼を突き動かし
ているのだろう。
ただ、どんなに馬鹿力を出そうともいまのDIOの力の前には
びくともせず、そのまま手を捻りあげられる。
それでも諦めることをしないジョナサンをDIOは
ジョルノが見ているであろう窓に無理やり振り向かせた。

後編に続く
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