分かっていた、多分こうなるのではないかって。
それでも会いに行かずにいられなかった。 今まで共に戦ってきた大事な人達を救えるのなら。 所詮、多勢に無勢、叶うはずなんてなかった。 今僕は捕らえられている、敵の本拠地に。 けれど諦めるつもりはない、僕が生きている限り。 「お前と話がしたい。この場所へ来てくれないか。」 僕が一人で町を歩いていると、友人がいきなり現れ僕に声をかけた。 いや、正確に言えば、ついこの前までは友人だった人だ。 今では闇に囚われ、敵として自分たちの前に立ちはばかる存在に なってしまっている。 いつもはこちらの話もろくに聞かず、顔を合わせれば問答無用で戦闘を 仕掛けてくるのに、今日に限って何故そんなことを言うのだろう。 だが、こちらはもとより友人と戦う気など微塵もない。 話し合いで済むのなら、それは願ってもない事だ。 ジョルノが頷くと、友人は場所を記したメモを渡し 闇の中へと消えていった。いくら友人が言った事を 信じたいとはいえ、彼等の心はまだ闇に囚われている。 罠の可能性は高い、きっと思い通りにはいかないだろう。 それでも僅かな可能性があることも信じたい。 一人で来るようにと言われたからには誰に相談することも 誰を連れていくこともできない。 例え一緒に戦ってきた信頼できる仲間でも。 そして僕はやってきた。のこのこと一人で敵の本拠地へ。 【汝の敵を愛せ 前編(ジョルノ編)】 きっと大勢の敵が迎え撃ってくる。あるいは奇襲をかけるかもしれない。 気を引き締めて敵の本拠地に足を踏み入れる。 しかし実際待っていたのはただ一人。逆に言えば彼ひとりいれば 他の仲間たちはいらないと言っても過言ではないだろう。 待っていたのはジョルノの父親、DIOその人だった。 人間離れした肌の色、鍛え上げられた肉体、輝く長い金の髪。 写真のその人とは見た目が変わってしまったけれど、 父であるのは変わりない。 DIOは一言「ついてこい」とだけ言うとジョルノを自室に招き入れる。 断れば、当然仲間に合わせてくれないのだろう。ジョルノも意を決して DIOについて行った。 DIOに招き入れられた部屋は豪華で一人で使うには勿体ない 位の広さだ。流石ボスともなると扱いが違うのだろう。ジョルノは あたりを警戒しながらDIOに勧められるままに椅子に座る。 これから始まるのは会話か交渉か。どちらにせよ自分にとって「いい話」 ではないのだろう。ジョルノは表情を固めたままじっとDIOを見つめる。 DIOはまだ話を切り出さそうとしない。ジョルノに背を向けたまま キャビネットの中身を物色する。酒でも飲むのだろうか。 だがジョルノはそれに付き合う気はない。 その間にジョルノはおもむろに写真を懐からとりだし、目の前にいる男と 見比べる。面影はあるが写真から伝わる迫力が違う。 今の彼は写真の彼とは比べ物にならない位、圧倒的な強さを持っている。 手合わせは一度してよくわかっている。思い知らされた筈だ、彼の強さを。 分かっているが逃げるわけに行かない、そう思い、 一人でここまで来たのだ。 「どうせ飲まないのだろう?」 いきなり声をかけられ顔を見上げるとテーブルの真ん中に高そうな 酒とグラスが一つ置かれていた。 自分に付き合う気などないと最初から読んでいたのだろう。 DIOは一人で酒を注ぐとジョルノの目の前でそれを一気に飲み干した。 「ここに僕を呼んだ訳は・・・?なければ僕が さきに用件を言わせてもらう。」 相変わらず沈黙を続けている「父親」にしびれを切らしたのか ジョルノが先に口火をきる。DIOはそんな息子を横目で見ながら 空いたグラスに再度酒を注いでいく。 「そう急かすな。用件は一つだけ。お前(息子)を 俺(父)の元に戻す。ただそれだけだ。」 「僕も用件は一つだ、仲間を解放しろ。それだけだ。」 噛みあわない互いの用件。 きっとこの交渉はどちらも決裂となるだろう。 決裂になれば即戦闘だ。相手がこのまま無事に帰らせてくれるとは 到底思えない。DIOは琥珀色の酒の入ったグラスを 揺らしながらさっきのジョルノの用件の返事をする。 「・・お前の用件への答えだ。いや、アドバイスかな? お前が俺の方に来ればいい。簡単な事だ。 そうすることで奴らはお前の手元に戻るだろう。」 「それだけは出来ない。僕たち側にも仲間は沢山いる。 それに悪に染まった仲間の元にいたってしょうがない。 僕まで悪に染まる気は毛頭ない。 「別にお前を悪に染める気はない。」 DIOはさっき、ジョルノを自分の元に戻すと言った筈なのに。 何処からそんな根拠のない言葉が出てくるのだろう。 仲間にするために自分をよんだのではないのか。 それとも他に何か意味があるのだろうか。 相手の思惑を一生懸命に探るジョルノにDIOが尋ねる。 「どうして自分が必要なのか・・・聞かないのか?」 「利用できそうだから?それしか浮かばない。」 「確かに戦力になりそうだが、それ以上に お前に純粋に興味があるのも事実。」 DIOは飲みかけのグラスをテーブルに置くとジョルノの傍へ近寄る。 本能的に危険を感じ、ジョルノは席を立とうとするが いつの間にかDIOはジョルノの背後に回り、その肩に手を置く。 途端にビリビリとした電流の様なものが体を走り抜け おどろいて思わずその手を払いのける。 別にDIOが何か特別な事をしたわけではない。 それだけDIOの力が強大なのだろう。 ジョルノはすぐ臨戦態勢に入り、自分のスタンドのG・Eを呼ぶ。 それに合わせてDIOも自分のスタンドを出す。 結局はこうなるのだ。最初から分かっていた事だ。 そしてこれからの結末も本当は分かっていたのかもしれない。 神にまで上り詰めた男に所詮普通の人間が叶うはずがなかった。 ただ、一つだけ予想外な事が起きたと言えば、スタンドにも ジョルノにもまったく傷をつけずにDIOが勝利を収めたことだ。 ジョルノのスタンドはDIOのスタンドに取り押さえられ 身動きが一切取れない状態にされてしまった。 非力な自分に残された唯一の武器は最後まであきらめない 強靭な精神だけ。こうなったらもう腹をくくるしかない。 スタンドと言う武器と自分を守る衣服をすべて剥ぎ取られ ジョルノはなす術もなく、DIOの足元に 座り込んでいる。DIOはジョルノの体を抱き上げると 自分の胸にその身を押し付けた。逞しい胸に頬が当たり その感触に身震いしながらも、気丈にDIOを睨みつける。 「・・・・・・・・。」 「反抗的な目だ。お前の言いたいことは手に取るように 分かる。「僕はお前を認めない、お前の軍門には下らない。」 そう言いたくてたまらないのだろう? だが、今のお前は蟷螂の斧も同然だ。それなのにお前はまだ 俺にたてつく気でいる。実に結構だ、それでこそ俺の息子よ。」 満足げに笑うとDIOはジョルノの髪止めの紐を解く。そのまま くしゃくしゃと前髪を掻きまわすようになでると、その顎をしゃくる。 「中途半端に乱れるとみっともないからな・・・。」 肉食獣を思わせる鋭い眼光に見つめられ、ジョルノの心臓が跳ねる。 これから何をされるのだろう、与えられるのは苦痛だろうか? 体への苦痛だけなら耐えられる、でも、もし恥辱だったら? 往生際が悪いが聞かずにはいられない、これから何をするのかを。 「・・・僕をどうする気だ・・。」 「これから俺はお前を知ろうと思う。」 「既に調べ上げたんじゃないのか?」 「俺が知りたいのはお前の実力や経歴ではない。俺が知りたいのは お前の中身だ。上辺だけの言葉ではなくお前の心の中の 声を聴きたい。だからお前はこれ以上無理して喋らなくてもいいぞ。」 DIOはジョルノを抱き寄せたまま、飲みかけの酒を一口含む。 きっと口移しで酒でも飲ませるのだろう、しかし冗談ではない。 敵である男に口移しで飲まされるなんて相手を見下すにも程がある。 ジョルノはとっさに顔を反らすが顎を掴まれ 口移しで酒を飲まされてしまう。喉が焼けるように熱くなり 軽くむせびこむ。 「ゴホッ・・・!」 「ちときつすぎたかな?子供が飲むには度数が強い酒だ。」 「何のために・・・!」 「お前の心と体をリラックスさせるためだ。」 意味ありげな言葉に不安を感じ、テーブルの上の酒を見る。 まさかあの酒に何か入れたのかとDIOに問い詰めるも 彼はそれに対して返事をせず、口の端を歪めて笑うだけ。 そのまま唇を寄せてきたので、接吻をされるはご免だと 顔を反らすが、顔ではなくDIOは首筋にその唇を落とす。 たかが少し吸われただけなのにジョルノはゾクッと身震いをした。 「効いてきたかな・・・?」 その言葉にジョルノは確信する。やはりさっきの酒に 妙な薬が入っていたのだと。そのままきつく睨むが 肝心のDIOの顔はジョルノの顎の下だ。 「卑怯なことを・・・っ!!」 「・・・・・・。」 ジョルノの抗議にDIOは何の反応も見せることなく 唇をさらに落としていく。その度に高鳴っていく鼓動。 体験したことのない恐怖、体験を予知しての恐怖。 それらがジョルノの不安をさらに駆り立てる。 素肌にかかるDIOの髪の毛さえも妙な感触に変わっていく。 DIOの吐息がかかるたびにゾクッとして震えそうになる。 突然胸のあたりに電気が走り、飛び出そうになる声を 慌てて両手で抑える。DIOはそんなジョルノの反応に 小さく笑うと、執拗にそこを舌で弄る。 わざと音を立て舌で胸の飾りの輪郭を舐めまわし、 その先端を唇で挟み吸い上げる。 その度にビクビクと体が跳ね、下半身がじんと疼いていく。 「・・・・っ!!・・・ぁ・・!!」 一生懸命に声を殺すが、塞ぎきれない喘ぎが漏れてしまう。 いくら薬のせいで感じやすい体になっていたとしても 敵である男にあられもない声を聞かれたくない。 口を押える指を噛み、快感をやり過ごすか。しかしその考え が読まれたのか両手首を掴まれ、口から遠ざけられてしまう。 「あ・・・っ!!!うぁっ!!」 声を抑える両手を奪われ、歯を食いしばるもやはり喘ぎが漏れ 胸の飾りを舌で転がされ、吸われるたびに下半身がジンジンと疼く。 静かな空間には胸の飾りを弄られる湿った音と自分の声しか聞こえず 余計に羞恥心を煽り立てる。 下半身からも何かが少しづつ漏れ ほどなくしてそれは勢いよくはじけ飛んだ。 「・・・・・っつ!!」 辛うじて歯を食いしばり大声を出すのだけはさけたが 敵の手で果ててしまった自分を悔やみ、罵る。 今自分に与えらえているのは屈辱では ないのか。快感を感じるなんてどうかしている。 悔しさのあまり拳を固く握りしめ、目頭を熱くする。 敵もさぞ嘲け笑っているだろう。 思い切り睨んでやりたい、しかし今の自分の顔はさぞかし みっともないだろう。更に敵の笑いを誘うだけだ。 必要以上の痴態は見せたくない。それが今の自分に出来る 最後の抵抗だった。未だ顔をあげないジョルノの耳元でDIOが なぐさめの言葉をかける。 「気にするな、全部薬のせいだ。」 言いながら下半身に手をすべらせ、一度達して硬さを失った 性器を優しく包む。そのまま撫でるようにしごくと 快感に弱いそれに再び硬さが戻っていく。ジョルノはその太い腕を 何とか下半身から引きはがそうと力一杯掴むが、びくともしない。 「やめ・・・っ!!」 「素直に快楽に身を委ねればいい。どうした・・? 感じているのではないか?勃ってきているぞ?」 「誰にやられたって・・・同じことだッ!」 「ほう・・・。」 悔しまぎれに憎まれ口を叩くが、すぐに後悔する羽目になる。 DIOはジョルノから視線を外すと、ドアに向かってパンパンと手を叩く。 どうやら仲間を呼んだらしい。幸いジョルノの仲間ではないようだが こんな所を第三者に見られるなんて考えただけでもぞっとする。 謝ってさっきの言葉を取り消したい、しかしくだらない プライドが謝罪の言葉の邪魔をする。 頭の中で押し問答を繰り返しているうちに、第三者は現れる。 背が高く髪の長い男、名をヴァニラ・アイスと言っただろうか。 その男と目があうと、ジョルノは思わずDIOの胸元に顔を埋める。 理由は自分の痴態を他人にまで見せたくないからだ。 ヴァニラは「最中」である事を気にも留めず、行儀よく一礼をすると DIOの傍に近寄る。そして何事でしょうとDIOに尋ねた。 「コイツの相手をしてやってくれ。誰でもいいそうだ。 俺の息子とは他人である奴にやられたら どう反応するのか見て見たい。」 人権をまるで無視したような無慈悲で残酷な言葉。 その声は冷たく、ジョルノの心と体にそのままふりそそぐ。 冷えていく上半身とは裏腹に下半身は相変わらず 熱いままだ。DIOが相変わらずそれをしごき続けているからだ。 冷たい扱いを受けようとしているのに感じ続けている下半身。 自制が効かない自分の体に、ジョルノは悔しさのあまり身を震わす。 「・・よろしいのですか?DIO様のご子息を愛しても。 結果、ご子息を汚すことになりますが・・・・。」 「お前ならいいだろう。」 「「中」に出しても?」 「ああ。」 そう言いながらヴァニラはジョルノの臀部を撫でると その間に指を滑り込ませる。前もいじられながらの 突然の感触にビクンと体を強張らせる。 危うく達しそうになるも他人の前で果てることは許さない。 「嫌だ」と叫びたいが口を開ければ喘ぎが漏れてしまうのは確実だろう。 「!・・・い・・・っ・・。」 「どうした・・・?」 くいしばった口の端から漏れる悲鳴にも似た声。 理由なんかわかっているくせに、わざとDIOはジョルノに尋ねる。 そして脅しかもしれないが、このまま意地を張り続ければ きっと後悔をするだろう。頭の中のもう一人の自分が言い聞かせる。 『恥を他人にもさらすのか?身内だけに晒す方がまだマシじゃないのか。 よく考えろ、薬のせいで君はおかしくなっているんだ。 たとえ君が父であるこの男に抱かれ、反応してしまったとしても それは薬のせいだ。君が淫らなんじゃない。薬の強さと恐怖は 君も知っているはずだ。』 薬の恐怖で思い出す。それは麻薬。どんな強い意志を持った ものでも必ず一度は挫けてしまうもの。 ジョルノに使われたものは麻薬ではないだろうが 麻薬ほどに強い薬だとしたら誰だってその薬の 威力に飲まれてしまうものではないだろうか。 (これは・・薬のせいだ・・・。) 感じたくないのに感じるのは薬のせいだ。 人間は薬によって良くも悪くもコントロールされるのだから。 感じるのは仕方ない。それでも他人には その姿を見られたくない。この男は変わり果てても父だ。 身内だけになら見られてもなんとか耐えられる。 父だけが相手ならまだ我慢できる。 「ジョルノ?黙っていたらわからんな。」 さっきから何も言わないで固まっているジョルノに 呆れ、DIOがジョルノを自分の体から引きはがそうとする。 それでもジョルノは懇願は勿論の事、拒否する言葉すら出さない。 言えない理由は二つある、一つはDIOの言いなりになるのが 悔しいから、もう一つは声をあげると喘ぎも同時に漏れてしまうから。 しかし引きはがされたらお終いだ、父に見られながら 知らない男に蹂躙される絶望が待っているだけ。 なけなしの力でジョルノはDIOにしがみつく。 「・・・・・!!」 「・・・困った奴だ。いいか?ジョルノ。もう一度聞く。 俺とヴァニラ(他人)とどっちを選ぶんだ?」 聞き分けの無い息子にDIOは選択肢を与える。チャンスは もうこれが最後だろう。でも口が開かない、選ぶべき人間の 名前を出したがらない。苦渋の判断の末ジョルノがとった行動は 黙ってDIOの背中に手を回す事だった。必死で縋りつく その様子を見てヴァニラが苦笑いをする。最初から こうなることは二人には予想がついていたのだろう。 「・・・残念です、やはり父親の方がいいのでしょうね。」 「フン・・・頑固者が・・。しかしまあいい。ヴァニラ つまらない事で呼び出して悪かったな・・。」 「いいえ、とんでもない。気がかわったらいつでも 呼んでください・・・。」 含み笑いしながらヴァニラが二人から遠ざかる。 扉が閉まる音と同時に、ジョルノの体から力が抜ける。 しかしDIOはいったん止めた手を再度動かす。 先ほどよりも早くそして強めに。 他人がいなくなって気が緩んだのか、ジョルノは思わず 嬌声をもらす。 「ふっ・・・・!!あっ!!」 「気にしないで果てろ。誰だって快感には 耐えられないものだ。」 そう言いながら耳に舌を入れられ、その感触をきっかけに 再び下半身から熱いものが放たれる。 これで二度目。しかし先ほどより羞恥と後悔の念はない。 男にとって自身を擦られば熱を放つのは、当たり前のことだ。 それを自分ではなく父にやられただけ。思いようによっては 気が楽にられるものだ。そう、行為がここまでならば。 ぼうっと放心したままの状態で何も考えられずしばらく 何も考えられずにいたが、突如尻の間に指を挟まれ身を硬直させる。 「な・・・・!?」 思わず驚いて顔をあげ、目の前に映る男に再度唖然とする。 自分を抱いている男は先ほどの神々しい姿のDIO ではなく、まさに写真のままの父の姿であるDIOにいつの間にか 変わっていたからだった。 「驚いたか?これは昔の俺だ。お前の持っている 写真と同じDIOだ。」 「・・・な・・なぜ・・・。」 「これからすることは、かなりお前の体に負担をかけるだろう。 神の力を得た俺が相手では、お前の身が持たなくなる。 快感に耐えられず、死んでしまうかもしれない。 手加減をしてやると言うのだ。それともお前は激しいのを望むか? 志半ばで、腹上死でもしたいか?」 笑えない最悪なジョークにジョルノは身を震わす。DIOの指が 尻の奥に躊躇なく入ってくる。指の先にはねっとりとしたものが ついていて、それは多分自分から出てきた精液だろう。 体に侵入する異物を押し出そうと力が勝手にはいる。 蕾を固く閉じ、侵入を断固として拒む。 「指を入れておかんと後々辛いぞ。」 「・・・嫌だ!あんたのものなんて・・受け入れたくない!」 「それは俺を否定するという事だな?」 「アンタだけじゃない!悪党は、全部だ!!」 往生際が悪いとは思いながらもつい反抗的な態度をとる。 また男を呼ばれるのではないかと内心ヒヤリとしながら。 するとDIOはどこから取り出したのか管付きの試験管の 様なものをジョルノの目の前にチラつかす。 試験管にはすでに透明な液体の様なものが半分入っているが それが何だか当然ジョルノは分からない。 ジョルノはDIOの持ってきた試験管を食い入るように見つめる。 試験管についている透明な管は細くて長い。 これを一体どうするというのだろう。なぜこんなものを持ってきたのか。 これの使い道が未だ理解できていないであろう息子に DIOがかいつまんで説明する。 「これはお前の精子を採取するための物だ。お前の持つ 強い遺伝子を研究する為に必要だと言われてな、 ちょうどいい、今から摂取する。」 試験管についている管の使い道がようやくわかり、 ジョルノの体から冷や汗が流れていく。みっともないと わかっていても体の震えが止まらなくなる。腕の中で震える 息子を落ち着かせるようにDIOはジョルノを撫でる。 「お前が俺の傍に身を置き、素直に 俺を受け入れるというのなら、使う必要はないと思った。 しかしそれは容易な事ではないようだ。 機会を伸ばせば伸ばすほど手に入りづらくなるからな。」 「な・・何を訳の分からないことを!一方的な 理由でそんなことをされてたまるものか!!」 これから襲う未知の恐怖に耐えられず、暴れるジョルノの体を 掴み、DIOの堅く反りあがった性器をジョルノの秘部にあてがう。 ついでに管を恐怖で少し萎えかけてきた性器の穴に軽く差し込む。 まだ痛みを感じているわけではないが、その光景に恐怖を 感じて反射的に硬く目を閉じる。 「痛みはいっぺんで終わらせた方がいいだろう? 怖ければそのまま目を瞑っていろ・・。」 そういいながらDIOは前の穴と後ろの穴に同時に異物を挿入する。 どちらも無理やりねじ込まれ、あまりの衝撃に息が止まりそうになる。 前の方は既に出た精液で滑りやすくなっているとはいえ 管を入れ込むには狭すぎる。後ろの穴もこれだけ太いものを 受け入れるには狭く、ズブズブと嫌な音を立て入っていく。 どちらもゆっくりと差し込まれ、あまりの苦痛で言葉にならない悲鳴を上げ 体中を痙攣させながら、ジョルノは必死で痛みに耐える。 「あ・・・ひ!い・・いた・・い!!」 体験したことのない痛みと、感じたことのない感触に 全身が硬直ししびれたように動かなくなる。手の指や足の指を 痛いほどに突っ張らせ、あまりの衝撃に息もろくにできない。 「この位お前が今まで受けてきた攻撃に比べれば大したこと ない筈だが・・・?」 耳元で囁きながらDIOは管と性器を前後の穴に 一層ゆっくり深く沈めていく。 その度にジョルノは声をひきつらせ身を硬直させる。 いっぺんで終わらせると言っておきながらなぜこんなに ゆっくり入れるのだろう。 生意気な事を言った自分への罰か、それとも中が 裂けないように気遣った配慮か。しかしいまのしジョルノからしたら そんな事はどうでもいい。早くこの苦痛から逃れたい その一心だけだった。 じわじわと襲い来る衝撃に耐えられずとうとう生理的な 涙が流れる。不思議だ、どうしてこんなことで涙が流れるのか、 戦いで痛い目にならさんざん遇ってきたはずなのに。 その時は涙の一粒も流さなかったのに。 DIOは、声を殺して泣き続ける息子の 涙をそっと指で拭いてやる。 「何故泣く?この程度の痛み位で。今までの戦いの中で もっと激しい痛みがお前を何度も襲ったはずだが?」 DIOのいう通り、ジョルノは敵からあらゆる 攻撃を食らってきた、時には両腕を切断し 時には目と喉をえぐられた。しかしそれは覚悟ができた 上での痛みなので、今受けている痛みとは勝手が違う。 泣くほどのこの痛みは、体に受けている痛みではなく 心に受けている痛みだからではないからだろうか。 目の前の自分を蹂躙している男は憎い敵のはずなのに 救いを求めるように縋りつき、うわ言の様に弱音を吐く。 「痛い・・いたい・・嫌だ・・いた・・・。」 「心配するな。今から痛みを取り除いて お前に快楽を与えてやる。」 DIOは痛みで震える我が子の頭を慰めるように撫でると 少しづつ腰を動かしていく。そのたびにひきつった悲鳴が漏れるが 不思議な事にだんだんと快感に変わっていくようだった。 DIOが情事に長けているせいか、薬のせいなのかわからない。 腰を動かされるごとに悲鳴が喘ぎに変わり、萎えた性器が 固さを増していく。 「そうだ・・素直に感じろ。感じることに罪悪感を抱くな。 忘れたのか?お前の体は薬によってコントロールされて いるんだぞ?感じても仕方がない体なんだ・・。」 「あっ・・・あ・・!」 そのままがくがくと揺すられ 小さい喘ぎも快感が増す事に大きな喘ぎに変わっていく。 痛みからくる痙攣も、快感からくる痙攣に変わっていく。 腰を揺らされ奥を突かれ、その度に熱を放ち 透明な容器を白く染めていく。 「それでいい、俺を感じろ。余計な言葉は言わなくていい。 すべて体で答えるんだ。」 「ううっ・・・あっ・・・!!」 DIOがわざわざ言わなくても、言葉を発することなんてできない。 今できることは、縋りつき、喘いで叫んで生理的な涙を流すだけ。 「・・少なくともお前の尻は、俺「自身」に対して 好意を持ってくれてるらしい。痛い位に強く締め付けて 離してくれそうもない。そんなに気に入ってくれたか? ん?素直な体にはうんとご褒美をくれてやるぞ。 そら、腹いっぱい飲むがいい。」 DIOはジョルノをうつ伏せにさせて 腰を高くあげさせるとその中に勢いよく熱を放つ。 その感覚すらも快感に変わり、ジョルノ自身も熱を放つ。 DIOの熱い精がジョルノの奧に一気に流れ込んでいく。 それはさらにすべりを良くして一層速さを増していく。 次から次へ快感の波が押し寄せてきて体と心が対応しきれない。 たとえ若くても快感になれていない体はすぐ根を上げる。 シーツを夢中でかきむしり、止まらない快感に必死で抗う。 「あ・・いやだァっ!もう・・や・・・!」 それだけは言葉にして懇願できるが、DIOは耳を貸そうとしない。 暴れる体をおさえつけながら容赦なく腰を動かす。 「まだまだ、飲み足りないはずだろ?俺をしっかり受け止めろ。 一滴も漏らすことなく、俺の精をその体の奥で全て受け止めるんだ。」 耳元で囁きながら一層強く腰を打ち付け、勢いよく精を中に噴射する。 その度にDIO自身を強く締め付け、漏らすことなく精を飲み込んでいく。 そしてDIOの放つ何度目になるか分からない 精の噴射が体の奧に受け止めきれなくなって溢れ出た時、 ようやくその行為に終止符が打たれた。 ずるりと熱いものが抜かれ、それと同時にジョルノの体も ずるりと崩れ落ちる。もう体を支える体力もない、口を開く 気力さえも、あれだけ最後に憎まれ口を叩いてやろうと 思ってたのに。そのままジョルノはDIOの腕の中で 意識をうしない深い眠りに落ちる。DIOはそんな息子を満足気な 表情で眺めると、初めてその口に唇を重ね、貪るようにキスをした。 あれから昏々と何時間眠り続けたのだろうか。 目覚めるとそこは先ほどの部屋。体はDIOの手によって 既に綺麗にされているが、腰に残る痛みと、体の奥に残る 異物感の名残が現実であったことを思い知らされる。 快感の余韻はすっかり冷め、薬の効果が切れたことを実感する。 後悔の波が押し寄せるが、もう済んだことだ。 薬のせいでああなったのだ。仕方がないじゃないか。 ジョルノは何度もそう言いきかせ、自分の気持ちを落ち着かせる。 やがて冷静さを取り戻すと、今度は脱出する手立てを考える。 なにか手掛かりはないかと辺りをくまなく物色していると ふと、テーブルに置かれている置手紙に気付き、手を伸ばす。 そこにはDIOの字で短くこう綴られていた。 お前が俺を受け入れない限り、最初に キスを交わさなかった意味を思い知ることになるだろう。 ジョルノは眉を顰めながらその手紙を見つめる。 一体どういう意味か、何が言いたいのか分からないが それ以外は何も書いていない様だ。読み終わった途端 悔しさと怒りを思い出し、それをくしゃりと握りつぶす。 この男は今更何を言っているのだろうか、 キスより濃厚な事をしたくせに、全く意味が分からない。 それを床に落とすのと同時に不意に誰かが部屋に入ってくる。 それは神父のようだったが彼から感じる禍々しい「気」が ジョルノの味方ではない事だけは確信させた。 思わずシーツで裸体を隠すが、男はジョルノに目もくれず くしゃくしゃになって捨てられた紙を拾い上げる。 そして険しい表情でジョルノに紙くずを突き付ける。 「これは君がやった行為か?どうしてこんなことをした? これは神の言葉だぞ?」 彼が言う「神」、それはDIOの事だろう。この男は 先ほどの男と同じくらいDIOを崇拝しているようだ。 「あんな男・・神じゃない!」 自分の今の立場も忘れて、ジョルノは目の前の神父を 睨み返す。神父は伏目がちに視線を落とすと 再度ジョルノに尋ねる。 「それは君の率直な意見か?そしてこれは君が やったのか?どんな気持ちで彼の導きを ないがしろにしたのだ?」 「あの男に・・・尊敬の意なんてない! 酒に薬なんか仕込んで・・僕を蹂躙して・・・・。 そんな男に何を尊敬しろというんだ! だから・・・握りつぶしたんだ。」 「そうか・・・。」 ふつふつ湧き上がってくる怒りを抑えきれず つい興奮して乱暴な口調で神父にくってかかる。 すると神父はロザリオを胸に当てると目を閉じ 何かをブツブツと唱え始めた。 最初はスタンドでも出すつもりかと、焦るも 戦う意思はないのか、神父はDIOが座っていた椅子に腰を下ろす。 そしてジョルノに向かって神父らしく説教を始める。 「残念だ・・・。君は神の子でありながら 神である父親を否定した。本来なら死罪でも 文句は言えまい。しかし・・君は神の子の中でも 選ばれた子供だ。分かるかね?君は神の子の中でも 過酷な運命に打ち勝った神の子として最も 相応しく選ばれた人間なのだ・・・。」 この男は一体何を言っているのだろうか。 神がDIOだとしたらその息子のジョルノが神の子だと 言いたいのだろうか?しかしそんな事考えたこともないし これからも考えるつもりもない。 思わず怪訝な表情で目の前の男を見つめる。 「君の表情、私の言った事全てを否定しているね。 仕方ない・・・。君に罰を与えよう。 彼には出来れば言うなと言われていたのだが・・。 君は少し思い知った方がいいようだ・・・。」 それだけ言うと神父はおもむろに立ちあがり DIOの飲みかけのグラスをジョルノの目の前に差し出す。 途端に先ほどの情事を思い出し、思わず身構える。 これのせいで自分はおかしくなったのだ。 まさかこの男もこれを使って何かするのではないだろうか。 しかし神父は何を思ったのか飲みかけの酒を自ら飲みほした。 突然の行動にジョルノは訳がわからず呆気にとられる。 この男はどういうつもりでこれを飲んだのか、 これに何が入っているか知ってて飲んだのか。神父はテーブルに 置かれたままの酒瓶をしげしげ眺めると、ジョルノに分かるように その瓶のある箇所を指で示す。 「これは昨日、私と神が飲んだのだ。間違いない。 ここに小さな傷があるだろう?」 そう言って人差し指で押さえている箇所には、神父の言う通り 確かに傷がついているが、それがどうしたというのだろう。 そういえばDIOが酒をキャビネットから出した時は 既に半分くらい量はなくなっていたがそれが何だと 言うのだろう。 「私はこれを飲んでも「何も」おこらなかった。そして飲み干した 今も何も起こらない。この意味が君にわかるかね?」 「何も」と言われハッとする。この男は酒に何も含まれて いないことを身をもって証明したのだろう。さっき目の前で 飲んだのもジョルノにはっきり解らせる為だ。 さらに神父はダメ押しとばかりにくしゃくしゃの紙を ジョルノの目前で広げて見せる。 「神は君とキスを最初に交わさなかった。 その意味が分かるか?」 「そんなの・・・!」 確かにDIOはジョルノを抱く前にはキスはしなかった。 酒を口うつしで飲まされたが、それは一瞬で、 キスとは到底言えない行為だ。。 しかしジョルノを蹂躙するのに必要ないと思ったからでは ないのだろうか。面倒臭い儀式を省いただけではないのだろう。 いつまでも答えを見いだせないジョルノに神父が代わりに答える。 「彼は君に何も細工をしてないという事だ。酒からも 神の口からも「薬」を飲まされていないという事実に まだ気づかないのか?」 再び薬の事を指摘され、心臓が跳ねる。しかし薬が入って いると教えたのはDIOだ。だからこそ自分はあんなに 乱れてしまったのではないのだろうか。 「そんなはずはない!だってあの男は・・!」 「神の慈悲にも気づけない、愚かな子よ。 君は神に気遣われたのだ。薬のせいにすれば 君の心の負担が軽くなる。自尊心を傷つけずに済む。 神は嘘をついたのだ。君を必要以上に苦しめない為に。」 「う・・・嘘だ・・。そんなこと・・信じない。」 根拠のない意地を張るも、何故自分がおかしくなったのか そのきっかけが見つからず一生懸命に探す。 辺りに変な香りはしなかったか。 知らずのうちに皮膚から薬をすり込まれたのではないか。 本当は神父の言う通りで認めたくなかったのではないか。 頭の中でいろんな憶測が飛び交う。 ジョルノはうわごとのように否定の言葉を繰り返す。 「ちがう・・あれは・・違う・・薬のせいだ・・」 「そう思うならすべてをひっくり返して探してみることだ。 万が一その薬とやらが出て来たら、わが命を絶って見せよう。 が、断言してもいい。君をおかしくした薬は一生かかっても ここから出ないだろう。・・君は認めたくないだけだ・・・。 神に抱かれ、素直に喜びに打ち震えた自分自身を・・・。」 神父の強い口調とそのまなざしには嘘など微塵も感じられない。 ジョルノは顔をおさえながらフラフラとよろめき床にへたり込んだ。 「懺悔するがいい、神を冒涜した己自身を戒めよ。 神に再び抱かれるその日までな。 その時こそ彼は「薬」を使ったと言わずに君を抱くだろう。 その時に全て判明する。君がおかしくなった本当の理由を。」 神父は冷たくそれだけを言い放つと部屋を出ていく。 床には空になったグラスが転がっている。 ジョルノはそれをひろうと壁に向かって投げつけた。 ガシャンという音とともにガラスの破片があたりに散らばる。 認めたくない。でも記憶を探ろうとすると体がうずき出す、 行為を思い出して。震える手で下半身に触れようとするが 思いとどまる。自分は今何をしようとした? 何を思い出して何を求めて何をしようとした? 「あ・・・うっ・・・・・。」 自分の両手を改めてみる。この両手は今まで誰に 縋りついていた? 「うわぁああああああ!」 抑えきれない感情が叫びとなって部屋に木霊する。 悲しみと怒りと後悔の入り交じった叫び声を背中で聞きながら 神父は自分の胸のロザリオに手を当て、天を仰ぎ懺悔をする。 「神よ・・・罪深き私とあの子にご慈悲を。」 「ああ、許すぞ・・わが友よ・・。」 謝罪に対しての答えが返ってきたことに驚き、神父は 声のした方を見る。 そこにはいつからいたのかDIOが壁に凭れ掛かり 神父を見つめていた。 神父はその「許し」に礼をするように軽く頭を下げると DIOに近づいてく。 「神(とも)よ、私は君との約束を破った。 それでも許してくれるのか?」 「いずれ言わなければならない事だ。構わん。」 「・・・感謝する。しかし神よ・・本当に君の子供の 記憶操作はしなくていいのか?」 「ああ、私自身の手でアイツを変えてみせる。 時間はかかるだろう・・だからこそやりがいがある。」 DIOは口元を歪ませると、ジョルノのいる部屋を見つめる。 そこから小さな嗚咽が聞こえてくる。きっと 悔しさと後悔の念に体と心を苛まされているのだろう。 ずっと息子のいる部屋を黙って眺めているDIOを心配して プッチは声をかける。 「慰めに行くのか?」 「いや・・。そんなことしなくてもあいつは自分で 立ち直るだろうな。そして再び脱出することのみに 専念するだろう。だがそのたびに私がその心を挫いてやる。 私の事が頭から離れられなくなるまで執拗に抱いてやろう。 これは失礼、君には関係ない事だったな・・・。」 「いや、これからの君たちの展開には私も興味を そそられる。君は今日あの子を抱いて何を感じた? 差し支えがなければおしえてくれ。」 「年相応の子供らしさを感じた。もう少し 大人だと思っていたが・・・。」 「がっかりしたのかい?」 「それが不思議な事に愛しさを覚えた。 あいつは私の腕の中で「痛い痛い」と縋りつき 泣きながら訴えていた。芝居ではない。 自然に出た行動なのだろうな。」 精子の採取の為の行為と初めて後ろへの異物の受け入れに ジョルノは震えながら縋り付き小さい声で 痛みを訴えていた。許しを請うためか 助けを求めるためか、どちらかは分からないが 本当に憎い敵にそのような発言をするだろうか。 「なるほど子供らしい行動だ。 敵対しているとはいえ、心のどこかで君が肉親で あることの気の緩みからうっかり出てしまった言動 なのかもしれないな。」 「嬉しい事を言ってくれるな、君も。 とにかく、そんな息子のかわいい一面を見てしまってから 歯止めが効かなくなってしまってな・・。 ちょっと無理をさせてしまったよ。だいぶ手加減は したがな・・・。あの細い体では私の与える快感の 全てを受け止めるのにはかなりの負担がかかる。 壊れてしまうかもしれないからな。」 あの後DIOは気絶したジョルノの体をシャワーで清め その奥にため込んだものをすべて洗い流した。 最初はその部分だけは手を付けずにおこうと思ったが 初めての体にこれだけのものが残るのは後々 体調に支障をきたすと考え、綺麗にしておいたのだった。 親心からか、今後の行為の為か、今考えると DIO自身もよく分からない。 「さ・・・この話はこれ位にしようか。 君もつまらないだろう。」 「そんなことはないぞ、神よ。君はとても幸せを 感じている。そんな君を見ていると私も 嬉しくなってくる。どうする?モニター室で彼の様子を 見ることができるぞ?」 神父はそういうとDIOをモニター室へ連れていく。 慣れた様子で機械を操作すると、一つのモニターに 未だ床に座り込んでいる少年の姿が目に入った。 一方見られているとも知らないジョルノは さっきから止まらない情事の余韻に体を苛まされていた。 眠りから覚めたときは何ともなかったというのに。 薬のせいではないことを知らしめられてからというもの 体中がほてるように熱い。その上 ここにはあの男の匂いがあちこちに残っている。 シーツを見て思い出す、椅子に掛けている服を見て思い出す。 大きな掌が自分の体を撫でまわし、舌があらゆる所に 吸いつき執拗に弄る。熱い塊が自分を何度も貫き、その度に だらしなく夢中で縋りつき、声をあらげた。 その記憶が頭の中に一気に流れ込み思わず体の芯が じんと熱くなり、意識が下半身に集中してしまう。 「・・・!!」 ブルブルと体を震わせ、自分の体を痛い位に抱きしめる。 床には先ほどジョルノの局部を苦しめていた管だけが転がっている。 それを見てまた身震いを起こし、慌ててそれを見えない所に 投げすてる。もう抜けたはずなのに局部の中に無理やりねじ込まれた 異物の感触をまた思い出し、三度小刻みに震えだす。 (・・・・だめだ!こんな事じゃ・・・。) ジョルノはよろよろと立ち上がると、何を思ったのか DIOの上着を羽織る。ジョルノの服は見当たらず、きっと 捨てられてしまったのだろう。DIOの上着は大きくて 下半身が隠れるのでちょうどいい。 そして両手にくるくると布を巻くと、何を思ったか さっき壊したグラスのかけらを両手の平に仕込み、またその 上から薄く布を巻き、DIOのベットに寝転がった。 父に抱かれたベット、嫌でも思い出す情事。 自分を包むDIOの上着でさえも彼の温もりを思い出させる。 しかし下半身に無意識に手が伸びたとしても、 その手の中には鋭いガラスのかけらが入っている。 自慰でもしようものなら容赦なく局部を傷つけるだろう。 (・・・慣れなきゃいけない。あの男への恐怖を 克服しなければ。) 今のままではあの男が近づいただけで取り乱してしまう。 その為には免疫をつけなければならない。だが情事に なれるのは無理だ。せめてあの男に会っても冷静でいられるように 自分の精神を鍛えなければならない。だからあえて DIOの匂いの残るものに身をうずめてみる。 (僕は・・諦めない・・。僕が生きている限り・・。) ジョルノは硬く決心するといつしかその意識を手放し 再び眠りに落ちた。 一方その様子をモニターから眺めていたDIOに 神父が背後から話しかける。 「神よ、あの少年の行動をどう捉える?君を認めての 行動と思えるか?」 「いや、あれはまだ認めてないよ。私と張り合う気 満々らしい。手にガラスを仕込んで「自慰」の防止とは なかなか面白い事をするではないか。俺に翻弄されたく ないのだろうな。しかしそれだけ俺との情事が 忘れられないものになったいう証でもあるがな。」 「ほう、なかなか手ごわいな。しかし君はとても嬉しそうだね。」 モニターをを嬉しそうに眺めるDIOを神父も 不思議そうに眺める。 「あれでいいんだ。まず私に慣れていくのが大事なんだ。 だってそうだろう?私たちは親子なんだ、親子の間に 不自然なふるまいはいらない。特別な存在ではなく 当たり前の存在でなくてはならない。それが親子だ 私はそう思う。」 「親と子は一緒にいるのが当たり前・・君はそう言いたいんだね?」 「その通りだプッチ。愛するのも愛されるのも当たり前。 そう思うのが普通だ。普通こそが俺の望む親子だ。」 DIOはモニターに映る少年を愛おしそうに撫でると 映像の電源をぷつんと切った。 「今は眠れ。目が覚めたらまた俺をたっぷり教えてやる。 俺を頼れ、俺に縋れ。貪欲に俺を求めろ。 俺に愛されることに慣れろ、俺を愛することに疑問を抱くな。 お前がそれを理解するまで、ここから出すつもりはない。」 「ふふ・・神よ。君も矛盾する事をいうのだな。 君に愛されることに慣れてしまった彼が自ら出ていくことなんて しないだろうに・・・。」 「勿論、それが狙いだ。あれは私の物だからな。さ、君の 時間を割いてしまった詫びに、酒でもご馳走しよう。」 もう嗚咽は聞こえない閉ざされた部屋を背後に、DIOと神父は 談笑しながら闇の中へ消えていった。 終 戻る |