オトナノアソビ
〜はないちもんめ〜


なかまをもとめてはないちもんめ
命を求めてはないちもんめ。

仲間がほしい。

仲間じゃわからん。

○○がほしい。

○○じゃわからん。




○○の命が欲しい。




戦闘しよう、そうしよう。


つないだ手と手が離され、成り行きを見守る仲間。
そして呼ばれた者同士、真ん中に進み出て勝負をする。
勝てば味方の列に戻り、負ければ味方の列から離れる。


そして離れた仲間はもう取り戻せない。
あちらを振り向く仲間の顔が寂しくかげる。
残った仲間との別れを惜しむように。



当たり前だ、これは子供の遊戯ではない。
それに貰うのは仲間自身ではなく仲間の命。
奪い返すことはできない、遊びとは違う。
そして一人一人減っていく、相手の仲間も自分の仲間も。
俺の仲間もあとわずか、お前の仲間もあとわずか。
命を奪われる仲間もいれば、途中で去る仲間もいる。
好きにすればいい、敵でも味方でもなければ
参加する必要などない。

残った者で、はないちもんめを続けよう。



勝って嬉しいはないちもんめ。

負けて悔しいはないちもんめ。


○○ちょっときておくれ。

鬼がいるから行かれない。

おふとんかぶってちょっときておくれ。

おふとんビリビリいかれない。

お窯かぶってちょっときておくれ。

お窯底抜けいかれない。


鬼は畏怖の対象だ。
命を殺す者、命を食らうもの。
鬼が罠を張って待っている。
どんなに準備を強化したところで
うかつに足を踏み込めばやられてしまう。
だから相手は慎重に様子を伺う。
行ったら戻れぬ、はないちもんめ。



しかし俺たちは待ってはやらない。
来なければ向かうのみだ。
さてと、次は誰にしようか。
相談しよう、そうしよう。




決まった。




あいつがほしい。




さらに一人、また一人仲間が奪われていく。
やがて己の手から最後の温もりが消えた時、
俺は一人、おまえもひとり。

さあ、最後のはないちもんめを続けよう。
お互い狙うのは目の前のただ一人。
相談する仲間はもういない。
お前は俺の命を狙うだろう。
だが俺はお前の命は狙わない。

だってそうだろ?勿体ない。
お前を消すのはあまりに勿体ない。
邪魔者は消して当然、だれしもこう考える。
しかしこうも考える。

邪魔になるほど強大なものを
あっさりなくしていいのだろうか。
いや、それではあまりにも惜しい。
俺をここまで追い詰めた勇者よ。
ここまで生き残った見事な勇者よ。
俺はお前自身を所望する。
ここまで生き残ったお前は俺が求める何よりの宝。
やすやすと砕くことはしたくない。

仲間になれ、勇者よ。
お前のせいで仲間がいなくなったのだ。
だからお前が俺の仲間になれ。
俺の心の支えになれ。
俺の仲間となり俺に尽くせ。
なあ、どうか俺の手に堕ちてくれ。


俺はお前が気に入った。
俺はお前を手に入れる。
お前の心を手に入れる。
お前の体を手に入れる。
命なんて別に要らない。
だがその崇高な魂は欲しい。
お前は強い、誇り高い、その魂に魅せられる。

支配したくてたまらない、お前の全てを。




決まった。




おまえのこころがほしい。



お前が勝てば、はないちもんめは終わる。
だが俺が勝てば、はないちもんめは終わらない。
俺はお前の全てを手に入れるまで
はないちもんめを続けるだろう。


命は別に欲しくない。
だが、俺は結局お前を殺すだろう。
新しいお前を手に入れるために
今までのお前を殺すだろう。

死ぬまで終わらぬ、はないちもんめ。
負けたら俺は死ぬだろう。
勝ったらお前を貰うだろう。



どちらも譲れぬ、はないちもんめ。
お前も必死ではないちもんめ。
俺も必死ではないちもんめ。






果たして勝つのはどちらかな。






正義などない、はないちもんめ。



ルールなどない、はないちもんめ。



オトナのアソビのはないちもんめ。





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