【男と言う生き物は、瀕死の状態になると
子孫を残そうとするため勃起状態になるという】



『・・・今俺がこいつをひきつけている間に
 できるだけ遠くに逃げろよ、爺さん・・・。
 ついでにシーザーもな・・。』

いきなり現れた強敵に、何かよい手はないかと
ジョセフは限られた時間で知恵を絞る。
しかし体中から血液がどんどん放出していき
意識も朦朧としていく中の状態での
良い知恵などなかなか出てこない。
自分を見下ろすこのワムゥと言う男もジョセフの
策略に気付いた今、まもなく止めを刺しに来るだろう。
このトロッコの終点地点が自分の人生の終点地点に
ならないように何とか食い止めなくてはならない。

『ちくしょう・・・落ち着け俺・・落ち着け・・。
 うっ・・さむ・・・血が抜けていっているからかな。
 死ぬ間際って寒くなるって言うけど・・・
 ちっ、縁起でもねぇ・・こんなみっともない終わり方
 出来るかってーの・・・。
 しかし・・・ちょっとスースーしすぎじゃないか?』

薄れ行く意識の中で何気に自分の太もも辺りを触る。
だが、朦朧とした意識でも何かが違う事に気付き
慌てて自分の体を見わたす。
そして今更気づく、衝撃の事実に。


「ないーーーー!!俺の服がないーー!!」


【第二次全裸対戦】


「どうした?何をそんなに驚いている?」

不思議そうに見下ろすワムゥもいきなり
全裸になっておりジョセフは更に驚く。

「驚いているって・・・・あ・・・あんたの服も
 ないじゃねーか!!これどういうことだよ!」

「む・・本当だな、しかしこれがどうしたと言うのだ。」

「どうしたと言うって・・・大問題じゃねーか!」

本人の口ぶりからすると自分で脱いだわけでは
ないようなのだが、この男の素なのか
裸になっていることにはたいして違和感を感じていないようで
腕を組み、ジョセフが何で焦っているのか考え込んでいる。

「何故だ?ああ・・・人間のお前は傷つきやすい
 体だからな・・・、だが俺達は平気だ。」

「そうじゃなくて!!不安じゃないの!?
 その・・・なーんにもつけていないとか!!」

「別に。」

「とっても男らしいですね!!(しかし・・・こいつの
 口ぶりからするとこいつの仕業じゃないってこった。
 じゃあ・・・誰が・・・?いつの間に?)」

周りをくまなく調べるがトロッコの中にも外にも
服のようなものは何もひっかかっていない。
目の前の男の仕業でもないようだし、
本人もなぜ全裸になったか判らないと言う。
乗っているトロッコもかなりのスピードで走っており
誰かが二人に近づき服を脱がすなんて考えられないし
そもそも脱がす意図が判らない。
気付いたら霧のように消えていた、それだけだ。

「ところでこれからどうする気だ?」

目の前の男は全裸の事よりこれからの成り行きが
気になるらしい、ジョセフにずいと詰め寄る。

「えっ?き・・・聞きたい?
 (・・仕方ねー・・・知り合いがいないだけでも
 よしとするか・・・。さて・・・まずこいつから
 距離をとらねーといけねーな。幸いな事に
 目の先にレバーがある・・あれをいいタイミングで
 止めねーと・・・。」

今のジョセフには余り猶予がない、目の前に見える
レバーで急ブレーキをかけ勝負に出るしかない。
しかしばれない様にしていたはずなのに、ワムゥには
とっくに見透かされてしまっていたようだ。

「まさか・・・その策略とはあの停止レバーを
 使って、トロッコを転覆させようとしているのでは
 ないのか・・・?こんな風に!」

「(やべっ!読まれた!)・・・ってあれ?」

先読みをしていたワムゥがレバーを軽く蹴飛ばす。
だが勢いよくとまるかと思いきや、何故かトロッコは
もと来た道へと戻っていく。
その事になによりも驚いたのはワムゥよりもジョセフだった。

「・・・何だ、方向転換のレバーか・・・。
 どうやら元の場所に戻ってしまうようだ。」

「ノーーーーッツ!!!!どうしてくれるんだよ!!」

「お前がトロッコに乗って俺を隔離させようとした
 策略が既に間違っていたのではないか?
 心配するな、またやり直せばいいのだ。」

「戻っちゃ駄目なんだよーー!!あ・・・め・・
 眩暈が・・・っ・・。」

「やれやれ・・・人間とは弱いものよ。」

血時計の時間制限も近いせいもあるが
さっきからハイテンションが止まらない
ジョセフ自身が更に体に負担をかける。
薄れ行く意識と戦っている最中にもトロッコは
最初においてあった着地地点に徐々に近づいていった。
そして入り口地点で待っていた二人もトロッコの音が
近くなるにつれ、慌てて岩陰から身を乗り出す。

「・・・おい?あれさっきのトロッコじゃないか?」

「え・・・?それでジョジョは・・・?
 ・・・あ、あの男は!!」

「じ・・・じいさ・・・シーザ・・・逃げて・・
 そ・・・そしてあんま見ないで・・・。」

「・・・貴様らどいてろ・・。吹き飛ばされても知らんぞ。」

ワムゥは二人にそう注意を促すと、まるで風神のような
凄まじいばかりの息を地面に向かって吹きかけ、
トロッコに再エンジンをかける。
その衝撃でトロッコは見る見るうちにまた遠のいていく。
二人は再び見えなくなっていくトロッコを唖然と見つめていた。

「な・・・なんて男だ・・・息を吹きかけただけで
 トロッコを逆走させるとは・・・。」

「あ・・・あの男・・全裸じゃなかったか・・・?」

「ん?上半身脱いでただけじゃないのか?」

「いいや!・・・その・・見えた。
 り・・立派なものが・・・。
 ジョジョの奴もよく見えなかったが・・・
 ズボンをはいていなかったような・・・。」

素人のスピードワゴンはワムゥのすご技にしか
注目していなかったようだがシーザーはしっかり
他の所にも注目していたようだ。
確かにもどってきたあの二人に衣服はなかった。
上半身だけでなら別に驚かない。
だが確かに全裸だった、この目でしっかり見てしまった。
もしこの場に女性がいたら即差に目隠しをしていただろう。

「戦いの衝撃で全部脱げたのではないか?」

「少年漫画のお約束でそれだけはありえない!
 だ・・・大丈夫なのかあいつ・・・。
 いろんな意味で心配になってきた・・・。」

途端にシーザーはジョセフが心配(そっちの意味で)になり
止めるスピードワゴンを置いて、よろよろとジョセフたちの
後を追いかけていった。

p


そしてその頃のジョセフとワムゥは・・・。

「・・・貴様が俺と二人きりで戦いたそうだから
 戻ってやったぞ、感謝するんだな。」

「色々違うと言いたいけど・・・
 もういいよそれで・・。(泣)」

「さて・・ここらで止めに入るか・・ふんっ!」

ワムゥが思い切り地面を蹴ってトロッコを止める。
凄まじい勢いでトロッコもろともジョセフも跳ね上がり
そのまま地面へと叩きつけられる。

「!!!!!(・・・悲鳴すら出てこねー。
 くそ・・・完全にタイムロスだぜ・・・。
 マジで召される五秒前・・・・・。
 皆・・・さようなら・・・死んだらかーちゃんや
 とーちゃんや、じいちゃんに会えるかな?
 ・・・いや・・・いやいやいや!!
 俺はまだ夢があんだっ!負けるな俺!!
 火事場のクソ力をだすんだ!頑張れ俺!
 やればできる!!)」

消えそうになる意識に活をいれ、何とか気持ちを
保とうと全身に力を込める。
しかし力は全身ではなく何故か下半身に集中してしまう。

「(・・・あれ!?なんか違う所が元気になっているぞ!
 マズイぞ俺!!何考えてんの?こんな時に!!)」

「貴様の血時計ももう限界ではないのか?
 さあ・・・どうする?」

ワムゥがジョセフの頭を踏みつける。
本来ならキレて噛み付くところだが、今のジョセフには
そんな気力はない、と言うよりもそれどころではない。
下半身が何故か元気になってきてしまっているのだ。
勿論ジョセフ自身何故こうなっているのかわからないが
こんな場所でこんなピンチなのに元気になっている下半身を
見られたら何て思われるだろう。
プライドと命はかえられないと言いたい所だが
こんな場合ではそうも言ってられない。

「くう・・。(・・・・うぐぐぐ、絶対仰向けにはなれねえ!!)」

「・・・?どうした?さっきから何故伏せたままなのか?」

いつまでもへばってピクリとも動かないジョセフを
不審に思ったのか、ワムゥが頭を踏んだまま尋ねる。

「べ・・・べつにいいだろ?」

言いながらジョセフは片手で自分の
股間部分にさりげなく手を入れる。
しかしその行動が、ワムゥをさらに
不審がらせる要因を作ってしまったようだ。

「・・・さては何か隠しているな?」

「何も隠してないっ!神に誓ってもいい!!
 (隠してるのは股間だけです!!)」

「まあ前を向かせればいいだけのことよ。ホレッ。」

「うわっ!!」

「・・・・・。」

勢い良く仰向けにされ、なすがままに全裸をさらけ出す。
ただし、さらけ出していない所が一つある。
いや正確には股に挟んで隠しているのだ、自分の局部を。
みっともない事をしているのは百も承知だが
究極の選択からでた答えがこれしか見当たらなかったのだ。

「な・・?何も隠していないだろ?
 (頼む!局部の事は突っ込まないでくれ!
 お前はそんな男じゃないはずだ!)」

「股に何を隠している?」

「そこまで突っ込むの!?股間だけに決まっているだろ?」

「何故隠しているのだ?俺だって隠してないんだぞ?
 貴様、俺と同性だろ?」

「こんな逞しくかつ、りりしい(※余計)女がいてたまるか!」

「なら足を開け、何の問題もなかろう。」

確かにワムゥは全く恥ずかしがる事もなく惜しげもなく見せている。
ジョセフも通常時なら割り切れるのだが今は通常時ではない。
幾ら男同士でも、そいうことになった所を見られたくない。

「ちょっと!そんな事言ったの誰かに聞かれたら誤解受けるぞ!」

「誤解とは何だ?いいから開け。」

両膝に手を置きぐっと力を入れてくるワムゥに
ジョセフも慌てて両膝に懇親の力を入れ抵抗する。

「きゃーーーー!エッチ!!」

「き・・・貴様男のくせに女々しいぞッ!
 ・・・そうか・・・貴様わざとそうやって
 俺を怒らせて、隙を作ろうとしているなッ。」

「あ・・あのよ!あんたは俺ごときの非力な人間が
 小賢しい手を使ってくるのがそんなに怖いの?
 違うだろ!?俺がもしあんただったら、そんな小さい
 ことでごたごた言わないね!」

「む・・・確かにその通りだな・・・・。ところでお前大丈夫か?」

一か八かの説得が成功してジョセフは思わず全身の力を抜く。
ただ相変わらず下半身は力が抜けてくれないようだ。
一体どうしたと言うのだろう。
そしてワムゥが「大丈夫か?」といったのはどういう意味なのだろう。

「え・・・?(こ・・・股間意外は・・。)」

「かなり出血が激しいようだが・・・。」

「わ・・・忘れてた・・・。は・・・早く
 話し進めねーと・・・マジ・・死ぬ・・。」

※と言うわけで、原作通りにワムゥ説得中・・・。
ほどなくしてエシディシ(全裸)参上。

「どうした?ワムゥ、何故そいつに止めを刺さない?」

「エシディシ様、私この者が気に入りました。
 つきましては(以下略)」

「ところで、そいつはアンドロギュノスか?」

アンドロギュノスと言うのは一つの体に
男の性と女の性をもつ人間の事だ。
ジョセフは意識朦朧になりながらも股間だけは
けなげに隠す事を続けていた。
ジョセフと正式に対面したエシディシがそれを見て
勘違いするのも無理はない。
ところでエシディシも何故か全裸なのだが
ワムゥと同じく本人は余り気にしていないようだ。

「・・・いえ・・何故かは判らないですが
 局部を股に挟んでいるだけのようです。
 さっきはちゃんとついていました、それなりに。」

「そ・・・それなりって何よ・・・(怒)。」

「クスッ★まあ余り突っ込んでやるな。
 男のくだらん見栄と言う奴だ。」

「ぐっ。(今なんで笑ったんだよ!!くそーーー
 小さいから隠してるって思われてるんだぜきっと・・・
 ち・・・小さくねーモン!周りと比べた事ねーけど。)」

「それでは、お前が俺達から逃げないように
 死のウェディングリングでもはめてやろう。」

そう言うと二人は小さなリングをジョセフに見せ付ける。
どうやら体に埋め込むらしいが、ネーミングが
シャレにならないくらい今のジョセフには最悪だった。

「え!!?何それ!!やめて!!
 人が見たら誤解するでしょ!!」

「誤解とは何だ?」

「さっきからよく判らん事を口走る男だ。」

「わーー!ノーーーー!!」

「ジョジョ!」

シーザー(衣服着用)登場。

「わー!もっとノーーーーーッ!!!!」

傷ついた体を引きずるようにしてようやくジョセフの元に
たどり着いたシーザーは衝撃の場面を目撃し閉口する。
先ほど「世話」になった男ともう一人の、仲間であろう男に
(しかも二人とも全裸)ジョセフが囲まれているのだ。

「き・・・貴様ら!何を!」

今にも飛びつかんばかりの勢いのシーザーだったが
意外な声が止めに入る。

「ば・・・バカヤロ・・・!!こ・・っちくんな!
 け・・・けが人のくせに・・・っ!!」

「な・・・!しかしおまえは!!」

「た・・・たのむから・・くんな・・・!」

二人の男たちの隙間から見え隠れするジョセフの体。
やはり彼の体もさっき見た通り全裸だ。
エシディシはにやりと笑うとシーザーにゆっくり歩み寄る。

「邪魔をせんで貰おうか?いま大事な取り込みの最中でな。」

「な・・・なんだと・・?まさか!!」

「ほう・・・やる気か・・・・?」

シーザーの体はジョセフよりはましとはいえボロボロだ。
まさに今の彼は怒りだけで動いているようなものだ。
そんな人間が強大な力を持つ柱の男に
どう立ち向かえるというのだろうか。
しかも目の前の男はワムゥよりも情け容赦ない男だ。
エシディシは一発で止めを刺そうとその手を高く振り上げた。

しかし次の瞬間、逞しい手が彼の腕を掴み阻止をする。

「お待ちください、エシディシ様。手負いの者を倒しても
 ご自分の名に傷がつくだけ。この男にも猶予を与えて
 やるのはどうでしょう。」

「相変わらず戦うことには真面目な男よな、だがその通りだな。
 か弱きものを倒しても自慢にもならんしな。」

どうやらその言いぶりからして、エシディシの方が
格上らしいが、その男を止められるワムゥと言う男も
タダ者ではなさそうだ。
相変わらず睨むことだけは止めないシーザーに
ワムゥはその表情を変えることなく「強くなれ。」
と一言だけ言い放つとジョセフの方へ戻っていった。

「待て!そいつに何をする気だ!!」

「心配いらん、もう終わった。」

「な・・・なんだと!?」

相変わらず二人の男が邪魔でジョセフの様子が見えないが
ぐったりと横たわっている様子だけは伺える。
もう手遅れだと(そっちの意味で)悟ったシーザーは
がっくりとうなだれた。
そんなシーザーに構いもせず、
柱の男たちは楽しそうに会話を続ける。

「少しの間だけだったがそこそこ楽しかったぞ。
 なかなか素質のある男だ・・・、後々会えるのが楽しみだ。」

「俺はまだ楽しめてない、後々じっくり楽しむとしよう。
 今度は俺が先だぞ?いいなワムゥ。」

「やむを得ませんな・・・・。楽しみすぎにはご注意を。
 おい・・・そこの仲間、奴の息はまだある。
 勇気と体力のあるうちに早く助けてやるんだな。」

柱の男たちに指図されるのも癪に障るが、確かに今は
ジョセフの命を守ることが第一優先だ。
急いでジョセフの体を抱き起し異変がないかを調べる。
体は所々出血しており、汚れているがかすかに息はあるようだ。

(ジョジョ・・・屈辱だったろうな・・・さぞ・・・!
 見てろよ・・・俺も強くなる!親友の無念とお前の
 屈辱も晴らすためにな!)

シーザーはもう見えない柱の男たちに固く復讐を誓うと
ジョセフをおぶってスピードワゴンの元へと戻るべく立ち上がる。
その瞬間「うう・・」とうめき声が聞こえたので
驚いてジョセフに話しかける。

「よかった・・!意識が戻ったか・・・!」

「お・・・おん・・・。」

「どうした?心配するな、奴らはもういない。
 ああ・・おんぶの事か?我慢しろ。
 お前は歩ける状態じゃないんだ。
 俺がおぶってやるから安心してその身を預けておけ。」

未だ二人の仲にわだかまりはあるが、シーザーも
傷ついた人間に冷たく出来るほど鬼ではない。
しかもそれが自分たちの為に傷ついたとあらば尚更だろう。
背中でとぎれとぎれ、小さな声を出す 
ジョセフはどうやら何かを訴えたいらしい。
シーザーはまるで子供に接するように何が望みかを優しく尋ねてみる。

「どうした?何でも言ってみろ。」

「抱っこ・・・してくれ・・。」

「抱っこって・・・まさかお姫様抱っこの事か!?」

まさか男っぽいジョセフからそんな発言が出てくるとは。
心底驚くシーザーだが、何が訳があるのかと思い聞いてみる。

「だって・・・おまえ・・背中・・汚れ・・・るだろ。
 いや・・・だろ?・・アレ・・・つくの・・。
 (移動の最中に漏れちゃったら最悪だし・・・。)」

背中とはジョセフの背中ではなくシーザーの背中を言っているようだ。
今更だがジョセフはまだ全裸のままだ。
おんぶをすれば背中のあたりに局部がつくのは必至だ。
ジョセフはその事を気にしているのだろうか。

「お・・・おまえ・・!(こいつ・・・意外と繊細・・。)
 俺は別に構わないが・・・お、お前が望むのなら・・。
 てゆーか全裸のまま担ぐ俺もどうかしてたな。
 俺のシャツを腰に巻き付けてやる。汚れるとか心配するな。
 また洗えばいいだけだ・・・。」

そういうとシャツを脱ぎジョセフの腰に巻き付ける。
すると安心したのか疲れ切ったのかそのままジョセフは
黙り込んで最後まで口を開こうとはしなかった。
  
p


そして無事三人は生還し、ジョセフと
シーザーの治療に専念する事が出来たが
生還と引き換えか、ジョセフの胸と喉にとんでもないものを
入れられ一ヶ月の余命を言い渡される。
しかしジョセフはそんなことよりも全裸の姿を
シーザーたちに見られてしまったことが
余程ショックだったのか、部屋に閉じこもって塞ぎこんでしまった。
一方一部始終を見て(誤解して)しまった
シーザーが、心配そうにスピードワゴンに尋ねる。

「・・・・スピードワゴンさん・・ジョジョは?」

「落ちこんどるよ。無理もない。
 あんなことをされてはな。(※指輪の件)」

「・・・やはり・・・。あんなことをされれば
 誰だって・・・・。(※レ○プされたと勘違いしている件)」

親友を目の前で失い、仲間の貞操も失い
ただ傍観している事しかできなかった
自分に静かに怒りを覚える。

「・・・あいつはあんなふうに見えて
 結構デリケートな所があるんだよ。
 判ってやってくれ・・・。」

「はい・・・(確かに。)俺・・・・
 何とか励ましてきます・・・!」

今更過去を悔やんでも仕方ない、今できることは
協力して前に進むことだ。
シーザーはそう固く決心すると
開かずの間(※ジョセフ作成)へ移動した。

「ジョジョ・・・はいるぞ・・・。」

中にはジョセフが全てから顔をそむけるようにして
背中を丸めて椅子に座り込んでいた。
膝に顔をうずめているのでよく表情は判らないが
誰がどう見ても落ち込んでいるようだった。
因みにシーザーに助けてもらった時に口走った
事は何も覚えていないようだ。
機嫌が悪そうに招かれざる客に抗議する。

「・・・・字・・よめねーのかよ・・・。
 入るなって書いてあんだろ。」

「そうか?字が汚くて読めなかったな。」

「・・・・そうかよ、悪かったな・・・。」

本来なら「何だと!」などと言って食い下がるのに
ふてくされるように一言だけぼそっと文句を言うと
もう話は終わりだとばかりに再び塞ぎこむ。

「お前らしくもない、いつものように
 つっかかってきたらどうだ?」

「うるせーー・・・ほっとけよ・・・
 ・・・・どうせお前も俺を軽蔑してんだろ?
 お前だけじゃない、じいさんだって・・
 (※勃○していたのを見られたと勘違いしている件)」

「バカやろう!俺達の為にそんな風になったのは判っているんだ!
 少なくとも俺は・・・いや、スピードワゴンさん
 だってお前に感謝しているんだ!見損なったりするものか!」

「・・・・・・・。」

思わずカッとなって怒鳴るシーザーにジョセフは
一瞬ビクッとするも再び塞ぎこむ。
自分の本心を判ってほしくてつい怒鳴ってしまったが
傷ついている人間に対して少し配慮が欠けていたと
反省し、今度は優しく彼の頭をなで、慰める。
怒って手を跳ねのけるのなら元気が出た証拠だ。
前の彼に戻れるのならそれでもかまわないと思った。

「悪い出来事は全部忘れろ・・・。
 お前都合の悪い事を忘れるのは得意だろ・・・?
 俺も・・・忘れてやるから・・・。」

「・・・・グス・・・うるせーや・・。
 ガキじゃねーんだ・・・頭撫でるなよ。」

憎まれ口を叩くが、決して手を跳ね除けようとはしない。
慰めてくれた事が半分嬉しくて半分困惑している、
きっと今はそんな心境なのだろう。
呆れる反面、すこし可愛くも見えてきたなどと
思う自分に思わず苦笑いをする。
決して華奢じゃない自分よりも背の高い男に
可愛いだなんてどうかしているかもしれない。
だがよく考えれば彼は背丈や態度はでかくても
自分より年下の、まだ完全な大人になっていない少年なのだ。
以前自分に、からかうのは好きだがからかわれるのは嫌いと
言っていた事をふと思い出す。
それは小さな子供が親にとる行動と同じなのではないだろうか。
わざと悪戯したり軽口を叩いて自分にもっと構ってもらいたいのだ。
からかわれるのが嫌いなのは、その時は相手にしてもらえるが
その後はだいたい無視をされてしまう、それが嫌なのだろう。
つまり彼は寂しがり屋なのだ、寂しがりやだが素直ではない。
そこがまた子供っぽくて可愛いと思ったのかもしれない。

「いいやガキだ、お前は体がでかいだけで
 本当に我侭勝手なガキだ。
 仕方ないから一人前の大人になるまで
 俺が面倒見てやる、感謝しろよ。
 と・・・言うわけで・・・これから波紋の修行を
 しにいくぞ、我侭言わずについて来い。
 ガキじゃないことを早く証明したいならな。」

「面倒くせー・・・でも付き合ってやる。
 俺は大人だから。」

「雨降って地固まる」ではないが誤解しあって
友情を深めた二人が道中にそれ(誤解)に気付いたかは
まったくの謎である。

終わり







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