俺は今生死の世界をさまよっている。奴の子孫に致命傷を与えられ
今度こそ絶体絶命というやつだ。

これから俺はどうなるのだろう。
死ねば地獄が確実にまっているだろう。
だが、未練が残れば霊体となってこの世を彷徨うのだろうか。

霊体といえばジョナサンはどうしたのだろうか。
ジョナサンならきっと天国へ逝っただろう。
だが、もしあいつが俺に未練を残していたら・・。
俺と同じくこの世を彷徨っているのだろうか。
それとも奴の子孫の守護霊としているのだろうか。

しかし未練か・・。あいつに俺への未練があるのか?
本当にあるのは俺のほうかもしれんな。
あんなに憎たらしいと思っていたのに何故か会いたい。
いや、本当は判っているはずだ。
心の中ではきっと奴に惹かれていたのだ。
今じゃ憎んでいた自分がおろかにも思える。
俺がそんなことをぼんやりと考えていると
懐かしい声が頭上から降りてくる。

「君と同じだよ。」

ふっ・・・奴の声が聞こえてきたような気がするが
気のせいだろうな、俺もとうとうお迎えが来たようだな。

「そうだよ、僕が迎えに来たんだ。」

・・・・・・。
まさかな・・・・。
俺は声のするほうに顔を上げる、
すると二度とお目にかかれないと思っていた
顔が目の前にあり俺を見下ろしていた。
その姿はどこかぼんやり光り輝いて
まるで空に映し出した映像のように透けていた。

「随分探したよ、ディオ・・・いや今はDIOだったね。
 もう終りにしよう。僕は君をあの世に送りに来たんだ。」

そういい手を差し伸べるジョナサンの顔はとても穏やかだ。
しかしこれは本当にジョナサンなのだろうか。
ジョナサンの姿を借りた神か、それとも天使か悪魔か。

「ジョナサン・・・本当にジョナサンなのか?
 ・・・今まで天国にでもいたのか・・・?
 神に言われて俺を地獄へでも連れにいくのか?」

「DIO・・・僕はね、ずっとこの世を彷徨ってたんだ。
 君とゆう未練が残っていたから、
 心配で成仏できなかった。・・いっとくけど
 君の事を心配したんじゃなくて、君に脅かされる
 人々の心配をしての未練だからね。」

ツンデレか・・・ふっ。

「?????とにかく僕とあの世に行くんだ。
 そこで君はお裁きを受ける。
 仕方ないけど多分君は地獄だ。
 でもね・・・僕もそうかもしれない。
 自分で死を望んでしまったものは天国へいけないって
 聞いたことがあるから。」

確かにジョナサンは俺と共に死ぬ事を選んだ。
神は自殺は最大の罪だといっていたしな。
だが苦笑いするもののジョナサンの顔に恨みの色はない。
俺と一緒にいるのがまるで運命だと判っている様に。
・・・お前と言う奴は・・・そんなに・・・。

らしくもなく俺は心を打たれ、口ごもる。
俺は今まで何に虚勢を張っていたんだろう。
でもこれで決心はついた。
お前の心、確かに受け取った。
だから俺も俺らしくお前に応えよう。

「お前と一緒か・・それも悪くない、だが断る。」

「DIO・・・諦めが悪いぞ、また僕となんて
 一緒になりたくないなんて言ったって・・・。」

「誰がそんなこと言った?俺が言いたいのは
 地獄にも天国にも行かんと言う事だ。
 俺はこの世を生きる・・だが・・・お前と共にな。(照)」

半ばプロポーズのつもりで俺は自分の思いを打ち明ける。
そんな俺の言葉にジョナサンは驚いて目を丸くする。

「僕は死んでいるんだよ?君だって
 もう死にそうじゃないか!」

「俺はお前のお陰で生きる希望が湧いた。
 だから俺は生きる。」

「そうはさせない!もうこれ以上君に悪行を・・・。」

「誰が悪行をするといった?もう世界征服は止めだ。
 お前らの一族はしつこくてかなわん。
 そうだな・・・俺は今まで沢山の命を奪ってきた。
 だからせめてもの罪滅ぼしに命を救ってやろうと思う。
 どうだ?こんな素晴らしい志の俺の行動をお前は
 止めると言うのか?」

そうとも俺は愛に生きる、
お前との愛に生きるともう決めたのだ。
戦いなんてもう馬鹿らしいものはやめた。
しかしジョナサンは流石に素直に信じてはくれない。
俺が今まで散々騙してきたからそれは仕方がない。

「その言葉を信じろと言うのか?」

「それならお前が傍にいて見届ければいい。」

「だって、霊体の僕に何が出来るって・・・。」

「ふっ、そこは俺に任せろ。まあ黙って俺について来い。
 悪いようにはせんし、悪い事もしない。」

ジョナサンは暫く考えた後俺についてくる事を決めたようだ。
俺は再生した体に再び入り込むと、ジョナサンの霊を連れて
既に廃墟となった我が根城へと赴いていった。


{始まりのお話}

そして数日後。

俺は次元の違う過去に遡り
死に際のジョナサンの体を持ってくる。
ちなみにディオと呼ばれていたときの
俺の体はどうしたのかと言うと
こっそりジョナサンの息子であるジョージの
体を持ってきてすりかえておいた。
どうせその息子も死ぬ運命にあったし、
同じジョースター一族の血統だし
ジョナサンの体と大差ないから大丈夫だろう。
何があっても違う次元の俺だし、まあいいか。
因みにこのことは勿論ジョナサンには秘密だ。

いきなり死に際の自分とのご対面をすることとなり
驚き慌てふためくジョナサンを説得し、体の中に入らせる。
途端にベットで虫の息だったジョナサンが
目を見開き勢いよく起き上がる。

「あ・・・あ・・・。」

ちなみにジョナサンの喉のキズは
俺が塞いでおいたので呼吸は何の問題もない。
ただ声の方は治るのに少し時間がかかるかもしれない。

「ぼ・・・く・・・。」

「そうだ、お前の体だ。」

「ああ・・・。」

ジョナサンは自分の体を愛おしそうに抱きしめる。
百年ぶりの体が戻ったのだ、当然だろう。

「ジョナサン、これからは俺と生きるぞ。
 お前は本当は元の世界に戻りたいのだろうが
 それは出来ない、お前が過去から姿を消すと言う
 歴史だけは変えられないんだ。いいな・・・?」

「・・・うん。」

「よし・・・判ったら元気を出せ、下半身は
 もう元気なのに。」

俺がそう言うのもジョナサンの下半身が
膨らんでいるのを発見したからだ。
ジョナサンは俺の指摘に顔を真っ赤にして
股間を押さえ、しどろもどろで言い訳を始める。

えっ?こ・・・これ・・・は・・ちが・・!

ジョナサンには何故自分の股間がこうなっているのか
判っていないようだが実は俺には判っている。
男は死ぬ際になると子孫を残そうとするため勃起すると聞く。
だから多分そのせいなのだろうが本当のことを
教えてやるつもりなど毛頭ない。
それは何故かと言うと、今からする「大事な儀式」の
いいきっかけ作りになるからだ。

「大丈夫だ。判っている。」

「ほ・・ほんと・・?」

「俺の男らしさに惚れて・・・つい・・だろ?」

!!????

思い切り首をよこに振るジョナサンを
優しく抱き寄せ、そのまま二人でベットに沈み込む。

「可愛いやつめ。ああ、俺はかまわん。
 俺もお前に惚れている。」

!!!????

実は男はこいつが初めてなのだが
まあ女を抱くのと大差ないだろう
入れる穴がいつもとは違うだけで。
それに俺も男だし快感のツボは何となく判る。

「大丈夫だ・・・優しくしてやるから
 全て俺に任せておけ、何せお前は
 病み上がりだ。女より優しく抱いてやる。」

「ち・・ょ・・・・!!」

慌てて俺の胸板を押しのけるが今の弱ったジョナサンの
力では一ミリも押しかえすことができない。

「怖がるな、忘れたのかこれはお前の体だぞ?
 何を恐れている?そうだな・・・自慰をしていると
 思えばいいのではないか?」

「え・・?う・・・うーーーん?」

確かにそうだけど何か違う気がする。
きっとジョナサンは一生懸命そう考えているのだろう。
まあせいぜい考えておけ、さて恋人・・・・
いや夫婦の儀式を手早く済ませてしまうか。

そして一時間後。

「う・・そつ・・き!・・う・・そつ・・・きっ!」

俺はジョナサンの攻撃を背中で受けながら
事後の一服を満喫していた。
波紋入りの攻撃なら、俺もちと危ないが
今の弱っているジョナサンの攻撃は
まさしく「屁」のようなものだ。
ところでなんでジョナサンが怒っているのかと言うと・・。

「ぜ・・・んぜ・・んぼく・・とぢがう・・じゃないか!」

そう、俺のさっきの「ジョナサンの体と同じ」と
いったことばに抗議しているのだ。
ジョナサン曰く抱かれた感じがまるで他人と言うのだ。
まあ確かに元はジョナサンの体だが、百年もたてば
吸血鬼の細胞のせいで肌質も、硬さも
匂いも何もかもが変わってくるだろう。
なにもかも同じと言えば星の痣だけだ。
でも元はジョナサンの体だから嘘は言っていない。

「お前が元から感じやすいんだろう?」

抱いた瞬間すぐ感じやすいと判った。
元々敏感なんだろう、性に疎い奴はだいたいそうだが
こいつは攻めれば攻めるほど磨かれていくタイプだ。
締まりもいいし、体の相性も反応もいいし後々が楽しみだ。
しかし今は、弱っているからここまでにしておくか。
俺は落ち込んでいるのか怒っているのか判らない
ジョナサンの隣で歴史書を紐解く。
俺の元部下だった凄腕の占い師から貰ったもので
俺やジョナサンの血筋の事を事細かに書いてある物だ。

「いつまでも落ち込んでいるな。男だろう?
 それよりお前も手伝え、お前の子孫達に
 関係のあることだ。」

「え・・・子孫・・・?」

髪が乱れたままのジョナサンが俺の傍による。
それを見てさっきの最中を思い出し、少しときめくも
途端に腹のなる音が聞こえる。
まあ「運動」した後だし仕方がないが
なんともムードのない奴だ。
ジョナサンはというと気まずそうに腹を押さえ
顔を伏せている。
まったく、本当にガキな奴だ、だがそこがいい。

「飯でも食うか?この世界の飯は
 昔よりも数段美味くなっている。」

「えっ!?で・・でも・・・お・・かねが・・・。」

「心配するな蓄えがある。」

俺も一応世界を支配しようと目論んでいたわけで
資金くらいは山のように眠っている。
ただ他人から強奪したものも沢山あるので
そのことだけはジョナサンには秘密にしておく。

「どうする?味は保障するぞ。」

「う・・・でも・・服が・・。」

今のジョナサンは丸裸だ。
実はジョナサンをここに連れてきたときは既に裸だった。
何しろジョージにジョナサンの服を着せてきたので
それは仕方がない。
だが幸いにも俺とジョナサンの体型はほぼ同じなので
俺の服を着させればいいので特に問題はない。

「俺の服を着ろ。」

「いい・・の・・かい・・・?で・・も・・・。」

「まだなにかあるのか?」

「地味・・・なの・・・ある・・かい?」

・・・・どういう意味だ・・・。

俺達は共にシャワーを浴び新品の服に袖を通すと
夜の街の高級ホテルへと向かっていった。
シャワー中に少しムラムラしてきたので
手を出そうとしたら、流石に威嚇されてしまった。
今夜はそこに泊まって正式にプロポーズして
こいつに余裕があれば「二度目」をしようと思っている。
さあこれからが新しい未来の始まりだ。

俺とジョナサンは最高級ホテルの貸切部屋で
美味い酒と食事に舌鼓を打っている。
貸切をわざわざ選んだのは、二人きりになりたいのと
同性同士なので回りにじろじろ見られたくないのと
俺のジョナサンに対するプロポーズを
聞かれたくないからだ。

それにしても・・・。

「DIO!これ美味しいよ食べてご覧。」

もぐもぐと口いっぱいに頬張るジョナサンを見て
ほほえましく思う反面・・・・。

やはりこいつの食事作法はなっていないな・・。
貸切を選んで正解だった・・・。

「お前大人になっても変わらんな。よく
 エリナに注意されなかったな。」

「えーーー・・・ひどいな・・・。
 確かに注意されたけど・・・・。
 仕方ない人ねっていつも笑って終わったから。」

言いながらごくりと飲み込むと急にしおれだす。
しまった・・・俺としたことが他の恋人の
話を持ち出すなんて・・・・。
俺は話を忘れさせるべくデザートを注文する。
デザートが来た途端目を輝かすジョナサンを見て
とりあえずほっとする。
やれやれ先が思いやられる・・、だがそこがいい。
こいつには何故か短所も許せる魅力がある。
それは全く飾らないこいつの性格にもあるのだろう。
子供のように純粋でまっすぐだが
人を労わる大人びた面もある。
人を包み込む優しさがある、まるで母親のように。

こんな事を言ったら本人に怒られそうだが、
こいつは父親より母親がよく似合う。
確かに父親のように頼もしく力強いのだろうが
父親特有の厳しさが見当たらない。
俺の親父など参考にならんが、他の親を見てそう思う。
父親と言うものは場合によっては非情に子を見放すが
母親は子供がどんな悪い事をしても
いつまでも見放したりしない、まあ例外もあるが
ジョナサンはそう言うタイプだ。

うん、やはりこいつは母親に適している。
息子の母親になる資格は十分だ。
俺はケーキを頬張っているジョナサンに提案を持ちかける。
そう息子のことだ、残念だが俺達は同性なので
子供を作れない、だが研究する価値はあるな、
いずれ試してみよう。
とりあえずジョナサンに息子のことを言わなくてはな。

「ジョナサン、俺には息子ができているらしい。」

「君の・・・?じゃあ妻がいるってこと?
 駄目じゃないか!彼女の元へ行ってあげないと!」

俺の言葉にジョナサンは驚き、身を乗り出してくる。
俺の今の妻はお前なんだが・・・・。
まぁいきなりそんなことを言っても「はい。」
だなんて頷くわけないし、俺は興奮する
ジョナサンをとりあえず落ち着かせる。

「落ち着け、残念だがその女はもう他の男と
 くっついて、半ば育児放棄の形で息子を放ってしまった。」

俺はあの女のことは判らない、だが占い師に
教えて貰ったのでどんな女かは後々理解できた。
最初からあの女に未練などなかったが、
所詮はそう言う女だったようだ。
ジョナサンはそれを聞くと心底辛そうに顔を伏せる。

「・・・そんな・・・かわいそうに・・・。
 あ・・・だからその子を引き取りたいんだね。
 そう言うことなら力になるよ。」

「その息子はお前の体で作った子供だ。
 だから俺の子でもお前の子でもある。
 どうだ?立派な俺達の息子だと思わないか?」

「あ・・・そうか!で・・・でも
 その子はそれでいいのかい?
 その子の気持ちをまず優先してあげようよ。
  もちろんその子の顔とかは判っているんだろう?」

「ああ、占い師が確か何枚か念写してくれて・・
 これだったか・・・?」

俺はそう言って占い師から貰った
何枚かの写真の入った封筒を取り出し
テーブルのうえに並べる。
いちいち封筒に入れなくてもいいのだが
むき出しのままでは俺に失礼だと思ったのだろう。
しかしどれだったか・・・。
えーと・・・青色の封筒だといっていたような
気がしたな・・・。
因みに俺はまだ息子の顔を拝見していない。
ジョナサンと一緒に見て喜びと感動を
共感しようと、いじらしくも見ないでおいたのだ。

「この子かーーー。君にも僕にも似ていないけど
 お母さんに似たのかな?随分個性的な子だね。」

ジョナサンが俺が渡した封筒の中の写真を見て
意外そうな顔をする。
何だと?俺とジョナサンに似ていないだと?
息子は母親に似るとよく言われるが
全く父親に似ていないなんてあるのだろうか?
他の男の子供なら息子を引き取る気は
さらさらないぞ。
俺はジョナサンから写真をひったくる。

「なに?見せてみろ。」

そして俺は絶句する。

・・・なあジョナサン・・・息子ももう十五歳だ
 十五歳と言ったら大人も同然。
 独り立ちしてもいいと思うんだが・・・。

なんてことだ・・・。
あの女さては整形して俺に近づいたな。
ここに写っているガキはどう見ても俺達の遺伝の
カケラもないようなブサ・・・いや美しくない
ガキだった。
まさか俺のクソ親父の遺伝が濃く出たのでは
ないだろうな、禿げた所とかとくに・・。
ある意味で「かわいい」とは言われそうだが
俺はどうしてもこいつを愛する事はできない。
・・・俺達に息子などいない、うん息子は諦めよう。
俺がそう決意を固めた時ジョナサンがふと
その封筒の裏側を覗いて何かに気付き
他の水色の封筒を開けて同じように裏側を
覗いて何かを確信すると俺に一枚の写真を差し出す。

「あ・・この子違うよ、DIOもおっちょこちょいだな。
 こっちの子たちは息子の敵だって。
 こっちの封筒は・・「J・J」って
 書いてあるからこの子じゃないかな。
 この金髪で、爽やかで利口そうな子。」

・・・・占い師の奴、なぜ他の奴の写真など
渡すのだ、紛らわしい・・・。
ジョナサンが差し出した写真には
一人の金髪の少年が写っている。
上半身しか見えないが俺達とは違いスマートな体だ。
金の髪の色とその髪質は俺にそっくりで
大きめの青い瞳はジョナサンに似ている。
ふーーーー、良かった美少年で。
しかしなんだ、俺とジョナサンに似ていると
確信できた途端なおさら可愛く見えてきた。
これが子を思う親の気持ちと言う奴なのか・・。

「・・・そうか。息子もまだ十五歳だしな。
 十五歳といったらまだ子供・・・。
 俺達がちゃんと面倒を見てやらんとな・・。

DIO・・・?見た目で息子を引き取るか
 引きとらないかを決めたりしてないだろうね。
 君には父親の心得を教えてあげなきゃ駄目みたいだね。
 息子にあわす前にちょっと質問したいんだけど・・。

「偉そうに・・。俺だってそのくらい判るぞ。」

「なら聞くけど、この子に会ったら
 君はまずなんて言うんだい。」

「俺がお前の親父だ。判ったら黙って俺について来い。」

「なんだいそれは!まずこの子をほったらかしていた
 ことを謝る所から入るべきだろう!?」

「ほぅ・・・俺が息子に会いにいけなかったのは
 お前の子孫達に阻止されたからなのだがな・・。」

勿論息子の存在など最初は知らなかったので
これはただの当て付けだ。
しかしこいつの子孫に抹殺されそうになったのは
間違ってはいない。

「君がくだらない野望なんて捨てて最初から
 この女性と仲良く暮らしていったら
 そんなことにはならかなかったんじゃ?」

「息子の面倒より自分の遊びを優先するような女と
 俺と息子で幸せな家族を築けるとでも?」

「そ・・・それはその・・・。」

なかなか言い下がらないジョナサンにとどめの一撃をさす。
流石に何も反論できなくなったのか、
俯いたまま黙ってしまった。
だが、まだ何か文句をいいたそうな気配を感じたので
俺はこの話にケリをつけ、次に話を進める。

「あの女がお前みたいな性格だったら
 それもありだったろうな。
 まあいい、つまらんからこの話は終わりだ。
 それで・・・?」

「え・・?ああ、と・・とにかく謝るんだ。
 一人じゃ無理なら僕がフォローしてあげるから。
 それで彼が許してくれるかどうか判らないけど
 それでも君は精一杯彼を愛してあげること。
 彼が僕も親と認めてくれるなら・・僕は
 是非今までの分愛してあげたいと思っている・・。」

ふっ・・・愛するのは任せろ。
 なーに・・・すぐおとしてみせる・・。

ちょっと!!息子に性的なことをするのは
 許さないからな!もーーー!
 やっぱり君は判っていない!」

いきり立つジョナサンに「周りに聞こえるぞ」と
注意を促すと、慌てて席に座りなおし無言で俺を睨む。
こいつは何をそんなにムキになっているのだ?
ああ・・・そうか・・・判ったぞ。

「ふん固いやつめ。半分冗談に決まっているだろ?
 ただ息子が俺を求めてきたなら話は別だが・・・。」

「DIO!!」

「妬くな妬くな、本命はお前だ。」

まさか息子にヤキモチとは・・かわいいところも
あるじゃあないか。

「そう言うことを言っているんじゃない!
 ああ、心配だよ・・・君と息子が上手くいくか・・。」

「だからお前が常に俺の傍にいてフォローしてくれるんだろ?
 何か間違った事を俺がしでかそうとしたら
 お前が止めてくれればいいのだ。
 俺が判らない事は全部お前が教えてくれ。」

・・・今のは俺のプロポーズなのだが・・・
こいつは気付いてくれたのだろうか。
ジョナサンは黙って俺を見つめると静かに
コクリと頷いた。

「うん・・・判った。ねぇDIO、今日はここに
 泊まるのかい?」

「そのつもりだが・・・?(まさか・・こいつからの
 誘いがくるか・・・?)」

「そうか・・・ふぁ・・・なんかさっきから眠くて
 眠くて・・・・こんな立派なホテルだから
 きっと寝ごこちがいいベットなんだろうな。」

「・・・・・・。(お約束なんて嫌いだ。)

「きっと久しぶりに幸せな気分に浸れたからだ・・な。」

「ジョナサン・・・?」

デザートはしっかりいただいで跡形もないが
こともあろうにテーブルの上で寝だしてしまった。
思わず溜息が出る、全く子供か、こいつは。

だが・・・最後の言葉、俺へ当てた言葉と解釈するぞ。
仕方ないが正式なプロポーズは後回しだ。
俺は寝ているジョナサンを担ぎ上げ最上階の
スィートルームへ移動した。
さて・・・明日から忙しくなりそうだ。

続く













































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