ディオに致命傷を与えてからジョナサンは大怪我もすっかり回復し、
スピードワゴンとツェぺリを仲間にし、
とある町の小さな宿屋に泊まっていた。
決して綺麗な宿屋ではないが、スピードワゴンの仲間達が
懸命に探して取ってくれた宿屋だ。ジョナサンは有難く
そこの宿屋に泊まることにした。

因みに飲み屋と繋がっているこの宿屋は
毎夜毎夜いろいろな情報が飛び込んでくると言う。
小さな情報や大きな情報、たまにディオやその仲間の
化け物たちの噂など。ジョナサンたちがこの宿屋を
利用しようと思ったのもディオ達の情報を掴むためだった。



             俺の癒し



夜になるとジョナサン達は飲み場に赴き
噂話を聞く。ガラの悪い連中ばかりだが、スピードワゴンの
仲間の知り合いが多くいる場所なので金や揉め事の
問題は今までおきたことがない。

今日もそんなにたいしたことは聞けなかったが
ジョナサンはスピードワゴンやその仲間達に
いつも心の中で感謝していた。

夜、シャワーを浴びたジョナサンは清潔な
寝間着に着替えて、窓から夜空を見上げる。
エリナはどうしているだろうか。周りの
知り合いは元気だろうか。

いつものように思いにふけりがら夜風を体に受けて
眠りにつく。ふと・・太もも辺りにぞわぞわした
違和感を感じ慌てて飛び起きる。
そこには見たこともないおどろおどろしい毛虫の
ような生き物が下半身の辺りを蠢いていた。

「うわっ!何だこの虫・・!イタッ!!」

大事なところを刺されてそれが余程痛かったのか、
場所が場所なので度肝を抜かれ驚いたのか、
思わず大きな声で叫ぶ。
するとまるでにそこにいたかのようにスピードワゴンが部屋に
慌てて飛び込んでくる。

「どうしたんだ!!ジョースターさん!」

「わっ!びっくりした!・・いや・・・
 驚かせたのは僕の方だよね・・・。
 ごめん大声を出して・・・。」

「・・・いや・・暴漢が来た訳じゃねーんなら
 いいんだ・・。」

暴漢と言うのは多分ディオたちの仲間の事を
言っているのだろう。それにしても
余りに早い対応だが、まさか自分の為に
ドアの前で張ってたりしてないだろうか。
ジョナサンは逆にスピードワゴンたちの
身を案じざるを得なかった。

「ところでどうしたんだ?さっきの悲鳴は?」

「あ・・・そうだ・・。でも本当にくだらない
 ことなんだ・・。変な虫が僕を刺して・・・・
 でも・・・あれ・・?どっかいっちゃった。」

さっきまでいたおどろおどろしい虫がいない。
あわててシーツを捲るが虫がいた形跡すらない。

「よかった・・・いや・・よくねえ!ひょっとして
 毒虫なんじゃないのか!?どこ刺されたんだ?
 虫の中には人を殺すぐらいの毒をもっている
 奴がいるってきいたことあるぜ!ちょっと
 見せてくれねーか!?」

元々心配性なのか、虫に刺されただけだというのに
スピードワゴンが血相を変えてジョナサンに詰め寄る。
多分さっきの悲鳴の大きさから、ただ事ではないと
思って心配しているのだろうか。

「いや・・・そ・・それが、見せられない
 所なんだ・・でも・・大丈夫だから!」

「俺に気を使ってるんなら大丈夫だぜ!おれはそんな
 ことで騒ぐようなちゃちな男じゃないしな。
 どこだい?あ・・さては尻とか?なんだ!尻なら
 誰でもついているぜ!同性だし恥ずかしがる事・・。」

「・・・あ・・そこなんだ・・。」

大丈夫と爽やかに親指を上げてポーズを取るスピードワゴン
だったが、予想していなかったジョナサンの言葉に
目が点になる。

「・・・へ・・・?あの・・それって
 男にしかついてないあそこ?」

「う・・・うん・・・。」

しばしの沈黙のあと、気まずい空気を一掃するかのように
あわててスピードワゴンが取り繕う。

「あーーー・・し・・しかしだな!場合によっちゃ
 俺は力になるぜ!第一俺にもついているしな!
 毒を吸いだす必要があるなら俺は別にかまわな・・・。」

「いやいやいや!!そ・・そんなこと人にさせられないよ!
 そん時は自分で吸い出すから!!その位、体は曲がるから!」

「・・・・。お前らなんちゅう会話をしておるんじゃ。」

白熱した(?)シモネタ満載の会話に終止符を打ったのは
騒ぎを聞きつけいつの間にか入ってきたツェぺリだった。
結局毒虫は見つからなかったし、
その時は痛みも残ってなかったがジョナサンは
念のためにツェぺリに体へ波紋を流し込んでもらった。

そして明朝ジョナサンは用を足すために早速トイレに入る。
だがすぐ異変に気づく。どうも尿の出が悪いのだ。

「・・・・?なんで・・・?」

明らかにいつもと違う排泄感。だが見た目は
いつも見ている自分の性器。
まさか病気になったのではないだろうか。
年配の男性ではよくあると言う。しかし自分はまだ若い。
酒は浴びるほど飲んでいないし、タバコなんて殆どすわない。
思い当たる事がないがしいていえばあの毒虫だ。
しかし外部は腫れているどころか刺し傷さえ見当たらない。
そっとそれを握ると途端に言葉にしがたいような激痛が走る。

「・・・うぐっ!!」

悲鳴を上げそうになり慌てて腕を噛む。
またスピードワゴンが飛び込んできたらさすがに
もう洒落にならないからだ。

(くそっ・・やっぱりあの毒虫か・・・。でもツェぺリさんに
 波紋を流してもらったのに・・・なんて強力な毒なんだ。)

いつの間にか痛みも引き排泄も何とか終わったが、正直
股間が気になって今日は修行に身が入らなかった。
夜ジョナサンは自分で波紋を流し込む。他の二人には
少し良くなってきたと嘘を言った。
変なことで心配させたくなかったからだ。

しかし本当に妙だ。外部はキズも腫れもないというのに
なぜ握るとこんなに痛いのだろう。内部にキズがあるとしか
考えられないが、確認しようがない。第一そっと触る分には
なんともないが少しでも力を入れると
意識が飛びそうになる位痛いのだ。 

あれから再度排尿したがやはり出が悪いのは変わらない。
内部が腫れているのかもしれない。
波紋が効かないとなると、これは医療でしか治らないと言う事だ。
明日更に悪くなるようなら医者に行った方がいいかもしれない。
その時は二人に謝って正直に打ち明けよう。

ジョナサンは大きく溜息をつくとベットへもぐりこむ。
ふと何かを思い出したようにハッと飛び起きる。
またあの毒虫がいたら堪らない。端から端までベットを探すが
何も異物は見当たらない。ようやく気が治まったのか
布団に潜り込んで目を閉じる。
明日には少しでもよくなっている事を願いながら。

そして明朝。ジョナサンの願いも空しく昨日より
排泄が困難になっていた。更に深い溜息が出る。
幸いな事に排泄が困難なのは前の方だけで
大きな方は普通に排泄できるようだ。

全てを済ませ下着をはこうとしたそのとき何かが
太ももの上を這いずり回る感触がして
体中に冷や汗が流れる。まさか昨日の?

しかしそれの姿を確認するまもなく
あっという間に臀部の合間に入り込み
その奥深くへと入り込んだ。

「!!!う・・うそだろ!?」

慌てて尻に手をやるがもう遅い。それはジョナサンの
奥深くでウゴウゴと蠢いている。

(気持ち悪い!!なんだ・・・これっ!!)

さっきまで小さかったそれは内部の水分を含んで
大きさをまし、さっきより活発に動き回る。

(っ!!でろ・・・!でてこいっ!!)

無我夢中で自分の中に指を突っ込んで掻き出そうとするが
まるでその追跡から逃げるようにどんどんと奥へ
逃げようとする。もしこのまま腸に入り胃に入り
内蔵を食いやぶいるようなことになったら?恐ろしい
想像に思わず指を抜く。するとその動く異物は
奥より少し手前に戻り同じ場所でまた蠢き始めた。

「・・・!?」

その行動を不思議に思ったのもつかの間
すぐに体の異変を感じ始める。

(あっ・・・・あ・・・あ・・。)

じわじわと下半身に奇妙な疼きが駆け巡る。
顔中に熱が集まり、性器が少しづつ硬さを
ましていく。まるでそこが弱点であるかを
知っているように異物は執拗に責め立てる。

(・・・や・・・やめてくれ・・・。)

よろよろとベットに潜り込み襲いくる
わけの判らない快感の波を必死にやり過ごそうとする。
じわじわと中から攻められ早く熱を開放したくて
つい性器に手を伸ばすが途端に激痛が走る。
その痛みで、すぐ萎えるものの中からの攻めは
相変わらず続くので、結局はまた硬さを取り戻す。
しかしただでさえ排出の悪いその出口からは
一滴の精液すら出てくれない。

(くっ・・・くるしいっ!!)

額に汗をかきながら荒い息を吐き再び自分の手を
見る。そこでハッと我に帰る。多分自分の中で
蠢いているものはただの生物ではない。

それなら波紋を流してみてはどうか。
震える上半身を何とか起こし手のひらを腰にあて
波紋を流す。するとあれほど蠢いていた奇妙な
異物は途端に動かなくなり、ジョナサンはそのまま
力なくベットへ突っ伏した。
だが、まだ問題は解決していない。中の異物が取れないのだ。

あれからジョナサンは下剤を飲んだりシャワーで
尻の中の奥深くまで徹底的に洗ったが全くそれは
取れなかった。そして・・・その不安は
再び恐怖へと変わる。

「・・・またっ・・・!!」

冷たかったそれがじわじわと温度を取り戻したと思ったら
また執拗な責めでジョナサンを苦しめる。
二度目の波紋。とりあえず治まる。
しかし今度のは二度目の時よりも復活が早かった気がする。

(キリがない!!)

三度目の波紋を当てながらジョナサンは医者に行く決意をする。
前の方は相変わらず握ると激痛が走り排泄が困難だ。
病院にいって解決するとは限らないかもしれないが
自分や仲間達ではもうどうする事もできない。
大手術になったとしてもこんな状態では戦う事はおろか
日常生活まで異常をきたしてしまう。

でもやっぱりあの二人にはまだ黙っておきたい。
そこでジョナサンは
スピードワゴンの仲間にこっそりと聞いてみることにした。
するといい医者を知っているという奴が要るので
その男の紹介でその病院のいる場所へ
案内して貰う事になった。
だがそこはお世辞でも綺麗なとはいえない
まるで廃墟のようなところだった。

「ここです。俺達みたいな表向きの病院にいけない
 奴らが世話になるトコなんですけど・・・腕は
 確かなんです。何でも治しちまうんですよ!
 外科も内科もなんでも来いなんですよ!そのお医者は!」

そう言いながら男は薄暗い廊下を乏しい炎で照らしながら
ジョナサンを先導していく。
カツンカツンと二人の歩く音だけが当たりに木霊する。

「俺の大怪我すら治しちまいましたから!」

男が笑顔で振り返る。しかしあたりが薄暗いせいもあって
なぜかその男の笑顔が不気味に見えてしまう。

「へえ・・・凄い先生なんだね。で・・君はどんな
 病気だったんだい?」

「はい!おれは腹の中が裂けて・・・。」

「えっ?」

「頭が割れて・・・」

そういえばこの男は帽子を被っているが手術の
跡を隠しているのだろうか。

「両腕両足が反対に捩れちまいましたが・・この通り
 今はもうぴんぴんですよ!」

そう言うと男はガッツポーズを取ってみせる。
余程手術の上手い医者なのだろう。しかし
自分のこの症状は治してくれるだろうか。
不安を引きずりながらも大きな扉の前にたどり着く。
男が大きな扉を開くと「先生」に向かって
呼びかける。

「患者を一人つれてきましたよー!!」

しかしその中からは誰の声もしない。
ジョナサンも一緒に覗くがなにしろ
ろうそくの炎だけでは薄暗くて何も判らない。

「あ!いたいた!そこにいらしたんですか!」

ふと男が後ろを振り向く。ジョナサンも
釣られて振り向くがいきなり意識が途切れ
その場に崩れ落ちる。

「つれてきましたよ・・?ディオ様。」

「・・・・ご苦労。」

ディオは崩れ落ちたジョナサンを抱え
男に褒美を渡す。

「良かったな!!俺もディオ様という名医に治して
 貰って今こんなに元気でいられるのさ!
 なにしろ片手一本で全てなおしちまう・・・・
 どこにもいない名医だろ?あははははは。」

男の下種な笑い声が回りに木霊する。
やがて辺りは全て闇に包まれ、
ジョナサンはディオに抱えられ重い扉の向こうに
消えていった。





腰が痛い・・・首も痛い・・両手が動かない・・・。
それに何だか甘い変なにおいがする。
からだ全体に当たる冷たい空気。多分自分は
全裸にされている。

うっすら目を開ける、目の前に自分。
壁にひび割れた鏡がついていて今の自分が
どんな状態なのかが一目瞭然だ。そこには
鉄で出来た断頭台に両手と首を固定されている
自分が映っていた。一つだけ救いがあるとしたら
手と首を固定している部分で自分の裸が良く見えないことだ。

そして誰か後ろにいる。この気配は見なくても判る。
ずっと・・・捜していた男だ。

「噂は・・・やっぱり本当だったんだな・・・。」

「当たり前だ。そう簡単に死んで堪るか・・・。」

豪華な衣装をたなびかせ「義兄弟」が近づいてくる。
男は不適に笑いながらジョナサンの傍らに
座る。

「随分大変な思いをしたようだな・・・。」

同情のカケラもない皮肉めいたその言い方に
ジョナサンは全てを悟る。

「あの変な虫もわけの判らない物体も・・君が?」

「他に誰がいると?俺の他に誰に恨まれているんだ?
 ん?是非教えてくれないか?手を組んでみたい。」

顔が見えないがその口元はきっと歪んでいるだろう。
頭に血が上り、思わず首の部分と両腕に力がこもる。
しかし重厚な鉄で出来た枷はピクリともしない。

「ふざけるな!!よくも・・あんなくだらない・・!」

「そう、くだらない事だ。だが、それがいいのだ。」

「なに・・・いって・・・!!」

手負いの野犬のようにかみつかんばかりのジョナサンを
ディオは楽しそうに眺める。そしてまるで
犬をなだめるかのように頭に手を置き
彼の耳元に囁きかける。

「そう怒るな、まだ早いぞ?怒り心頭になるのは・・・。」

「ど・・ゆ・・・。」

ぎり・・と歯軋りをするも急に力が入らなくなる。
さっきから体が熱い。頭がぼうっとする。
体全体がうずくようなこの感じ・・・そしてそれは
下半身の方から這い上がってくる。

「異物が動き出したようだな・・・。」

「うっ・・・くっ・・・!!」

奥に入ったままの異物がまたじわじわと動き出す。
前の方も少しずつそりあがっていく感覚が判る。
だがきっと熱の開放は許してくれないだろう。
またあの地獄が繰り返されると思うと
ジョナサンは眩暈がしそうになった。

「波紋を流したらどうだ?取り合えず治まるぞ・・・。
 ああ・・今は無理か・・・。」

ハッとして固定された両手を見る。波紋はじかにその部分に
当てなければ意味がない。それが判ってディオは
わざと「助言」をしたのだ。手をわなわなと震わせ
血が出そうに成る程拳を握り締める。
いつもならここで秘めたる力が
発動されるはずなのだが、今回は力が湧くどころか
どんどん力を吸い取られていくようだった。
ぼやけた視界で香炉を見る。たぶんあれのせいだ。
きっと麻薬のような物が仕込まれているのだろう。

「はあっ・・・こんなところに僕を押し込めて・・
 首を跳ねる気か・・・!」

がくがく震える両足と、なけなしの気力でなんとか体と
心を奮い立たせる。

「うん・・・?この断頭台のことか。安心しろ刃などない。
 お前を拘束するためだけに使っているだけだ。」

「・・・あ・・・は・・・。」

バシバシと鉄の断頭台をディオが叩く。その衝撃から
伝わる感覚にも刺激を感じ思わず身を捩る。だんだんと
ディオの声が霞がかる。正直正気を保っているのは
やっとで自分が自分でなくなりそうだ。

「お前を一気に殺してしまうほど俺の恨みが浅いとでも
 思っているのか・・・?」

臀部のあたりを軽くなでられただけなのに
激しい快感が体中に駆け巡る。

「ふ・・・っ!」

「なあ、ジョジョよ・・。俺は館の下敷きになってあれから
 大変だったぞ?体中それこそ化け物のようになり、元の
 この美しい肉体に戻るのは・・・。」

「・・・っ・・。」

くずれそうな意識の中思い出す。自分が炎の中
で意識がなくなっていく最後のときまで彼の
苦しそうな悲鳴と断末魔が聞こえていたのを。
だからこそ終わったと思っていたのに・・・。
自分の認識の甘さが今のこの結果だ・・。


「新鮮な生贄のお陰で俺は元に戻れた。だが心はちっとも
 回復しないのだ・・。これだけは生贄だけでは
 どうにもならん。お前が潤してくれん事にはな。」

「ひ・・卑怯だ・・・こんな・・・。」

「さっきもいっただろ?だからいいのだ。正当な方法で
 戦ってもお前は微塵も傷つかない。俺はお前を
 傷つけたいんだ。外部をではなく内部から
 痛めつけたいんだ・・・。」

うっとりとしながら狂気に満ちた表情を
ジョジョへと近づけていく。傍にある香炉を
更に彼の近くに置く。やはりこの香炉のせいだ。
体が妙な疼きを覚えるのも、頭がぼうっとするのも、
力が出ないのも。震える手で香炉に手を伸ばすが
届かない。ディオはわざと手が届きそうで
届かない場所に置いたのだ。さっきより香りが
近づいたせいで体の疼きが一層強くなる。

「お前の口からではなく心からの悲鳴を聞きたい。
 恥ずかしい姿を余すことなく俺の前で曝け出して欲しい。」
 みっともなく嘆願してくれ。命乞いではなく
 苦しみから救って欲しいと俺に頼め。懇願しろ。」

「ごほっ・・・く・・・くるし・・・。」

もはや顔を上げる気力もなくなる。いや目の前の
鏡を見たくないのだろう。きっと酷い顔が映っている。
見たらきっと発狂してしまうだろう。
ディオの足音がジョナサンの下半身の方へ移動する。
そして唐突に彼の張り裂けそうに熱を持った
性器を靴の先端でつつく。

「・・・息が・・ではないだろう?苦しいのはここか?」

「あうっ!!」

軽く突かれただけで全身に衝撃が走る。
体が震える、これから自分はどうされるのだろう。
先の見えない恐怖に冷や汗がじっとりと浮かぶ。

「そう怯えるな、確かおまえ自身が握ると痛みが走るんだったな。
 だが、俺が握っても・・・。」

「ひっ・・・・!?」

「痛くない・・・そうだろう?」

いきなり熱くなったものを握られる。途端に
自分が握ったときの激痛を思い出し体中を
強張らせる。だが確かにディオのゆうとおり
激しい痛みは何もない。目の中に火花が
散りそうな、あれほど激しい痛みだったのに・・・。

「・・・な・・・なっ・・・。」

「そう言う風に俺が作ったからだ。不思議だよなあ?
 世界には色々な呪いの方法があるからなぁ・・・。」

「あっ・・・あ・・・。」

ディオがどんな方法を使ったのか判らないが
あの虫もわけの判らない異物も呪いからの産物だったのだ。
しかし今はそんなことよりも、いまだ収まらない体の
疼きと体の奥でうごめくものの存在、吐き出すことの出来ない
熱の苦しみが全身を支配して他の事など
あまり考えられなくなっていた。

「苦しいよな・・。俺なら苦しみから救ってやる
 ことができるが・・?」

「だ・・・だれ・・・が・・・・。」

文字通り悪魔のささやきが聞こえる。
否、自分は悪には屈しない。だがもう一人の自分が
ささやきかける。ここは彼に嘘でも従うべきだと。

「そうかそうか、ならそのまま苦しんでいろ。そうだ・・
 俺の部下に男でも平気な奴が何人かいたな・・・。
 どうだ・・・?かわるがわるそいつらに突いて
 もらうと言うのは・・・。」

遠まわしな言い方だったが、自分が
大勢の男に強姦されるという事だけは
ジョナサンにも理解できた。冷や汗が額から
流れていく。思い描きたくもない最悪な
場面が頭をよぎる。

「危ない趣味の奴らばかりだからな・・お前のその格好
 を見たらさぞかし興奮するだろうよ。獣のようなやつらに
 延々と犯されるお前の様を見て楽しむのも悪くない。ああ、
 ただしお前の熱は解放してやらん。とても盛り上がるだろうな。
 狂ったように苦しむお前をいたぶるショーは・・・。」

挑発するように言葉でなぶる。ジョナサンの心臓は早鐘の
ように煩く波打った。

「・・・大勢に手篭めにされ、汚され、狂ったように乱れる様を
 俺に視姦されるのがいいか、俺一人に手篭めに
 されるのがいいか・・・。
 普通の奴ならすぐ答えは決まるだろうな。」

「うっ・・・。」

悪魔の囁きにもう一人の自分が加担する。



ここは彼に従ったほうがいい・・・。大丈夫だ。
君はこの香炉のせいでおかしくなっているんだ。
このままでは埒が明かないよ?自決すればいいなんて
考えは捨てるんだ。残されたものはどうする?
確実な地獄が待っているんだぞ?
君は自分のくだらないプライドの為に大事な人を
見殺しにするのか?



「俺は待つのが嫌いだ・・・。すぐ返答しなければ
 部下を呼ぶぞ。」

苛立つディオの催促がもう一人の自分に拍車をかける。

急げ。彼なら本当に実行するぞ。
それにこれは皆を守るための試練なんだ。
君は何を投げ出しても守りたいものが
ある。違うか・・・?
プライドを捨てるんだ・・・、みんなのために。

悪魔の囁きにもう一人の自分、押し寄せてやまない
快感の波。迫りくるかもしれない新たな地獄。
ジョナサンは覚悟を決めて、彼に懇願する。

「くるし・っ・・!開放を・・・!」

「誰に?」

「君に・・・っ・・!」

「ディオ様・・・にだろ?」

「ディオ様・・に・・・。」

「・・・お願いします・・がないな。」

「お・・お願いしますっ・・・!」

「ふん・・・苦し紛れだが先ず第一試験は合格だ。」

ディオはそう言うとジョナサンの腰辺りに
手のひらを当てる。その途端中で蠢いたものが
冷たい氷の塊になり粉々に崩れ跡形もなくなった。
ようやく収まった快感の波に一気に力が抜ける。

「はあっ・・・・・。」

「ようやく安心したか。まあいい、そのまま力を抜いていろ。
 その方が好都合だ。」

「え・・・・?」

色々な緊張から開放されぐったりして緩んだ体に
まるでその言葉を合図にしたかのように質感の違う熱い
塊が無慈悲にも急激に肉壁を割って浸入してくる。
余りの衝撃と痛みに声も出なくなる。ほてっていた体から
急激に熱が奪われていく。

「どうした?第二試験のはじまりだぞ?」

「あ・・・ああああ・・・。」

最奥まで無理やり押し込められ、体中の筋肉が強張る。
初めての衝撃に体がどう対応していいか判らず
ジョナサンは固まったまま全く動けないでいた。

「仕方ない俺からリードしてやるか・・・。」

そう言うと、ディオはジョナサンの腰を掴んでゆっくり揺らす。
異物を拒ん出いるはずの肉壁がぎゅうぎゅうと
それを締め付ける。そのせいで後ろを征服する
判りたくない異物の形がはっきりと感じ取られていく。

最初は耐え難い痛みが全身をむしばんだが、それは
そんなに時間もたたずに快感へと変わっていく。
呪いの異物が入っていた時の何倍もの快感が彼の体を支配する。

「ああっ・・!は・・・!!ううっ!」

思わず嬌声があがる。口を塞ぎたくても両手が
届かない。今更ながら余りの羞恥心に涙が滲む。

腰がしびれ、奥がしびれ、性器が再び硬さを増す。
しかしそれの開放はいまだ出来ず、快感と共に
苦しみも強く倍増していった。しかも後ろを征服している
浸入物は先ほどよりも容赦なく速い速度で彼の体と精神を
快感で蝕んでいく。

「うああっ!!くる・・苦しいっ・・!!」

「そうだろうな・・・それで・・?」

時おり荒い息遣いで腰を揺らすディオは
いまだに熱の開放を手伝ってくれない。
多分このままではずっとしてくれないだろう。
ジョナサンの懇願がまだ聞けていないからだ。

「た・・・たす・・・。」

「はっきり言え。ガキじゃないだろう?」

「助けてくれ・・・っ!!」

かすれた声で必死に助けを求める。背後からディオの
含み笑いが聞こえる。本当に楽しそうだ。

「んー・・いい響きだ、少しだが心が癒されたぞ?
 それで・・どう助けて欲しいのだ?」

「熱を・・・開放・・・してく・・・ださいっ・・!」

つまり性器を掴んで精液を搾り出して欲しいのだろう。
ディオにはすぐ判ったがわざと判らないフリをして
とぼけてみせる。

「は?そんな言い方じゃ判らん。子供でもわかるような
 言い方をしろ。」

「そんな・・・さっきは・・・!」

「さっきはさっきだ。俺に逆らうのか?俺の後に
 部下を呼んでやろうか?え?」

ジョナサンが口応えをしたのが気に入らないのか
ディオが声のトーンを落とす。彼なら本当にするだろう。
最悪の事態を想像して思わず身震いをする。

「・・・っ!」

なんとか口を開いて言葉を出そうとするが、なけなしの
プライドが邪魔をしているのか、かちかちと
歯がなるだけで言葉がなかなか出てこない。
そんなジョナサンを見て埒が明かないと思ったのか
ディオがジョナサンに助け舟を出す。

「仕方ない俺の言う事を復唱しろ。「性器からはしたない
 汁を出すのを手伝ってください。お願いします」とな。」

「せ・・・。」

「俺は待つのが嫌いだ。二度もいわせるな・・。
 三度目はないぞ・・・?」

更に声を荒くしてさっきよりも荒く挿入を繰り返す
ディオに、ついに心も体も耐えられなくなったのか
ジョナサンは恥も外聞もなく大きな声で「お願い」をする。

「性器・・からはしたない汁を出すのを・・手伝ってください。
 お願いします・・・!」

「第二試験合格だな・・・。」

嘲笑しながら一層激しく腰を突くと奥に熱い液体が
飛び散るのをジョナサンは感じた。中に射精されたのだ。
だが自分のはいっこうに熱い液体が出てこない。
それなのにディオは再び腰を動かしはじめる。
余りの苦しすぎる快感に涙か汗だか判らない
物がジョナサンの顔を濡らす。


「さて最後の試験・・・いや・・・試練だな。」

「ううっ・・・もう・・ゆる・・・。」

「お前には俺に犯した大罪がある。一つは俺を死より
 酷い目にあわせた事。もう一つはそんな俺を
 放っておいて自分達だけのうのうと旅を続けている事。
 ああ・・そういえば最愛の女とも感動の再開を
 果たしたそうじゃないか。は・・俺が苦汁をなめて
 過ごしていた間、お前は甘い蜜を味わっていたのだな?」

ジョナサンの腰を掴む手に力がこもる。そこから
彼の怒りがじわじわと伝わってくるようだった。

「そ・・そんなっ・・!」

「なあ旅は楽しいか?仲間達は、女は、そんなに
 魅力的か?俺を必死で探し当てる事も
 忘れるくらいに・・・。俺は待ってたんだぞ?
 回復祝いとまでは言わないさ。だが義兄弟が
 無事だったんだ・・・。普通すぐ会いに来てくれる
 もんだろう?それなのに、随分ゆっくりと遠回りを
 しているのだな・・・。」

胸の敏感な部分をわざと撫で回し更に快楽を
引き出そうとするディオにジョナサンは慌てて
反論しようとするが体が震えて上手く言葉が出ない。

「ちが・・!」

ふとディオの腰の動きが止まる。
しかしその中のものを抜くような気配はなく
その両腕をジョナサンの肩に置きかえ耳の近くで
低い声で高圧的に「命令」する。

「「待たせてすみませんでした。もう許してください。」
 これを百回いえ、終わったら終わりですといえ。
 多くても少なくても駄目だ。その場合
 もう一度言い直しになる。それまで熱の開放は
 お預けだ。ほら・・・早く言わないと苦しみが長引くぞ?」

百回・・気が遠くなるほど長い時間だ。早口で言っても
二分以上はかかる。たかが二分かもしれないが今のジョナサンには
それは十分すぎるくらい長い時間だ。しかもディオの事だ。
聞き取りずらければ再度言い直しを求めてくるだろう。
一秒でも早くこの苦しみから解放されたいのに、もはや
この仕打ちは拷問と言っても過言ではない。
考えている間も容赦のない責めは続く。

「ま・・・またせて・・・す・・すみ・・!」

「区切って言うな。言い直しだ。」

「ああっ!許してください・・・許してください・・・許して・・。」

もはや正常な思考が出来なくなったジョナサンは
とにかく許して欲しいのか
怯えた子供のように何度も謝罪する。何でもいい、とにかく許して欲しい。
彼の頭にはもうその事しか残っていなかった。

「んー・・。あぁ・・・こころが癒されていくぞ、ジョナサン。とても
 いい気持ちだ、どんな音楽よりも癒されるぞ・・・・。
 ふふふ・・そのみっともない懇願はなぁ・・・!だが俺が
 言えと言った言葉とは違うな・・・言い直しだ。そういえばお前は
 癒しの力を身につけたんだったな・・・。成る程、良く効くぞ・・・。
 なぁ・・・これからは俺専用の「癒し」になってくれないか・・?
 クク・・・そんな顔をするな・・・止められなくなる。ほら・・・
 二度目を入れてやる。ありがたく拝領しろ・・。 」

再度激しく腰を打ち付けられ再び最奥に流れ込む液体。
そんな感覚でさえも快感の引き金になってさらにジョナサンを苦しめた。
いつ終わるのだろう、いつ開放してくれるのだろう・・・。
揺さぶられながらただひたすら泣いて懸命に懇願するジョナサンを
ディオはいつまでも笑いながら眺めていた。




意識が途切れてあれから
どれだけ時間がたったのだろう。辺りには誰もいなくそこには
自分がはめられていた断頭台と脱がされた衣服が置いてある。
それだけでもショックなのに腰への鈍痛と、いまだ残る出し入れされた
異物の感触と熱が彼に起こったことの残酷さをものがたる。

ジョナサンは床にただ呆然と座り込んでいる。
一体どっちが良かったのだろう。
部下に襲われたほうが良かったのか、
彼に襲われたほうが良かったのか。
今となっては後悔しても遅いが。

目の前には香炉が零れ落ちている。ジョナサンは怒りに任せて
それを叩き潰した。最低だ。ディオもそうだが彼に
みっともなく懇願した自分も・・・。

自分を「売った」もう一人の自分の声はもうしない。
代わりに色々な自分が声をかけてくる。

『悔しいのならそれをバネにしろ。』

『忘れてしまえ。それが一番いい。』

『これも試練の一つだ。乗り越えなければいけないよ。』

『本当にほかに方法はなかったのか?』

『なんてみっともない・・・この教訓を忘れてはいけないよ。』

『彼の言うとおり、悪いのは君じゃないのか?』


責めと慰めの言葉が心の中に入り混じる。
ジョナサンはよろよろと立ち上がるとかめの中に
堪っている雨水に顔をつけ、暫くその中で泣いた。

そうして少し落ち着いたジョナサンはかめの中の水で
体を清める。余り綺麗な水ではないが今の汚れた
体よりはずっと綺麗だ。

体を見ても怪我をしているようなところは全くなく、
試しに局部をそっと握ってみたが痛みは何も感じなかった。
「呪い」・・・いいや彼の「恨み」がとりあえずとれたの
だろう。ジョナサンは衣服を着なおすと暗い廊下を
壁伝いに上る。帰らなくちゃ、仲間が待っている。
幸いな事にディオとその仲間はどこにも潜伏して
いないようだ。気配でわかる。

遠くから声がする。スピードワゴンとその仲間だ。
心配して探しに来てくれたのだろう。
ありがたい。仲間というのは本当にありがたい。
ジョナサンは笑顔で手を振るが、体力の限界が
来てしまったのか手をあげたままその場に
倒れこんでしまった。

「たたた大変だ!!あにき!!」

「ばばばばばバカやろう!!心配すんな!
 あのジョースターさんだぞ!!死んだりなんか
 するもんか!・・・ホラ見やがれ!心臓が
 動いているじゃないか!ビビらすんじゃねぇ!」

慌ててスピードワゴンが抱き起こし心臓部分に
耳を当てる。ちゃんと動いている心音に
安心し、照れ隠しのせいか部下を小突く。

「あいて!死んだなんていってませんよぉ!」

「兄貴ィ。おれがジョースターさんはこびます!
 なあに、ジョースターさんの一人や二人軽い軽い!」

突然後ろから来た大男がジョナサンを担ぎ上げる。
ジョナサンも背は相当高いが、その男の方が
体も背もおおきかった。

「オウ!助かるぜ流石子分一の力持ちだな。」

「へへへ・・なんなら兄貴も一緒に担いで
 あげましょうかい?」

「バカ・・・。俺はなんともねーよ。
 それより急ぐぞ。また変なのが来たら
 大変だ!」

そんなことを言いながらスピードワゴンと仲間達は
足早に離れた場所にある町へと無事に戻っていった。
そしてさっきからそれを眺めている二人の男が
ヒソヒソと話をしていた。

「・・・本当にほっといていいんで?今でしたら
 ゴミどももまとめて一掃出来ますよ?」

「今はいい。それに楽しみは取っておきたいのでな。
 ところでお前は先に戻って再び仲間を集めてきて
 くれないか?今は一人でも多く戦力が欲しい。」

「ははっ!お安い御用で・・・それでは早速・・。」

背の高い男が小男に目で合図をすると
小男は素ばやい動きであっという間に遠ざかっていく。

一方残された方の背の高い男は今日堪能した
快感の余韻をしみじみと味わっていた。
全く今日は最高の日だった。今思い出しても
笑いが止まらない。

(ジョジョよ。お前のお陰で俺の心は半分くらい潤いを
 取り戻せたぞ。だがまだ半分だ。半分はまだカラカラの
 ままなんだよ。なのになぜお前を逃がしたか判るか?
 一気に苦痛を味あわせるよりじわじわと苦痛を味あわせた
 方が楽しいからだ。今のうちたっぷり甘い蜜を吸え。
 幸せになった所で、またこの俺が苦汁を舐めさせてやる。
 時間をかけてゆっくりと・・・そのうち苦汁を舐めるのが
 快感とも思えるくらいになるまでお前を変えてやるよ。
 今日のようにこの俺の手でな。羞恥に悶えるお前の
 姿を見るとどんどん俺の心が癒されていくんだよ。
 ああ・・次が待ち遠しい。早く癒してくれ。)

自分の手にいまだ残る温もり、獲物が震えるときの
あの感触を思い出し、また笑みがこぼれる。
またあの震える感触を味わいたい。みっともなく
俺にすがるその様が見たい。その日がくるのが
楽しみで仕方ない。

「早く来い。俺はまだ癒されたりないぞ。」

もう姿も見えないジョナサン達を
いつまでも眺めながらディオはひとり呟いた。




 







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