ジョースター家に養子入りして何年経っただろう。
ジョジョも俺ももう十八になった。
そこで俺達は大学に進学する事になる。
俺もジョジョも勿論同じ大学だ。
そのことに不満はない、かえって目の見えないところに
いられると、逆に不安になるからな。

そしてジョジョは考古学を、俺は法律を学ぶ。
専攻は違うがそれは仕方ない、俺は金のなる仕事を
しなくてはならないのだ、考古学など興味はない。

俺とジョジョは当たり前だが一緒に登校する。
ただ帰りは別だ、そこまで仲良しこよしをアピール
する必要などないからな、終了時間が合えば一緒に帰るが
実際仲良しこよしでもなんでもないしな。

だが、俺は別にジョジョは嫌いではない。
最初は毛嫌いしていたが今は違う、気に入っているとも。
アレを俺の思うがままに操りたいといつも思っている。
今は同等だが、いずれ差をつけて「ご主人様」と呼ばせ
その体も心も何もかも支配してやるからな。

{ディオの体重増加防止大作戦}


しかしあるときから突然ジョジョの帰りが遅くなる。
週に何度か夕闇に空が染まる頃帰ってくるようになる。
そして決まってその時は、飯をいつもの何倍か食べ
いつもより早く寝てしまう。
まるで、目一杯外で遊んで帰ってきたガキのように。

そこで思い当たるのが部活をしてるのではないかという事だ。
大学に入った当時は俺もしつこいくらいに勧誘された。
まあおれは文武両道だから実際入れば戦力になるだろう。
しかし、俺は「スポーツで青春を」とかいう馬鹿らしい
遊びが大嫌いなので、いれかわりたちかわり来る
勧誘を全て断った。

そして次の朝、俺はジョジョに思い切って聞いてみる。

「ジョジョ、最近君帰りが遅いけど、
 彼女でも出来たのかい?」

「ええっ?また・・・君が言うと嫌味に聞こえるよ?
 実はね・・・僕・・ラグビーを始めたんだ。」

話しながらも決してフォークを置く事をしない
ジョジョを内心呆れながら見つめる。
それにしてもよりによって球遊びとは・・。

「ラグビー・・・あの・・・ボールを追いかける・・。」

「ボールを追いかけるって・・・まあ間違っては
 いないけど・・・そう・・そのラグビーさ
 紳士のスポーツのね。」

「だからそんなに食べるようになったんだね。」

ジョジョの前にはてんこ盛りの料理が載った皿。
それが瞬く間になくなる。
元々食べる奴ではあったが最近は尋常でない。

「え・・・そ・・そうかな・・・・。
 まあでも確かに自覚はしてるよ。
 ラグビーはとにかく食べて動かなきゃだから。」

最近太ったもんね。

「ふ・・太ったって言わないでがっちりしたって
 言ってくれよ・・・。それにこれからもっともっと
 体作りをしていかないと・・僕まだまだ小さい方だから。」

ただでさえツッコミ満載の台詞に俺はつい耳を疑う。
思わず持っていたグラスを落としそうになったくらいだ。

「ゴメン。俺の聞き間違いかな?君が小さいって
 聞こえたような気がしたんだけど・・・。」

「それがね!僕も自分は大きい方だって
 いつも自覚してたんだけど・・・・・。
 ところがどっこい、ラグビー部の先輩達は
 僕より体の大きな人がゴロゴロしてて・・・
 改めて、井の中の蛙だって教えられたよ。」

「体が大きければいいってもんじゃないんじゃない?」

「いや、ラグビーだけはそうは行かないんだ。
 勿論素早さも身軽さも大事だけど・・なにしろ
 あれはぶつかり合うスポーツだろ?
 軽いとどうしても吹き飛ばされてしまうんだ。
 と言うわけで・・・おかわり頂戴。」

そう言ってメイドにお代わりを要求する
ジョジョを見て俺は唖然とする。
・・・これはまずいぞ、こいつどこまででかくなる気だ?
ラグビーなんぞやられたら、体型も防御力も攻撃力も
今の俺との差を思いっきりつけられてしまう。
かといって、ラグビーなんぞ止めろと説得する
正当な理由なんて何もないし
こいつに身体的な面で負けるなんて
俺のプライドが許さん。

なら・・・俺もやるしかないじゃないか!
俺はスポーツなんぞ下らん事やっている暇など
ないというのに・・・くっ・・ジョジョの奴。
とことんナチュラルに俺の野望の邪魔をする男よ。

「ねぇ・・・ジョジョ・・僕もやってみたいと
 思うんだけど・・・駄目かな・・・?」

「駄目だなんて、君はスポーツ万能だから
 入れば先輩達も大助かりだと思うよ?
 ただ・・・君は勉学に夢中だったんで
 余計なお世話かと思って黙ってたんだ。」

「(たしかにな!)いや・・・頭ばっかり
 鍛えたって駄目かなと思ってさ・・・。
 考えてみればスポーツって体鍛えるだけでなく
 精神も鍛えられるもんね。
 と言うわけで・・・口聞いてくれないか?」

顔面神経痛になるかと思うくらいの笑顔を作り
俺はジョジョにお願いをする。
なんて屈辱だ、後で覚えていろ。

「ああ、いいよ。僕に任せておいて。」

「(偉そうに・・・)うん、お願いね。」

かくして俺はジョジョのせいでやりたくもない
スポーツを強引にやらなくてはならなくなった。

そして翌日、俺は早速ジョジョと共に部室に行き
部員達に紹介される。
ラグビーのルールは事前に頭に叩き込んでおいた。
「足手まとい」などと思われるのは屈辱的だからだ。
判らないフリをして先輩に教えを請い、
いかにも先輩の教え方が上手かったから
覚える事が出来たということにする。
上手い世渡りの方法だ、最初のうちは気に入られんとな。
案の定俺は気に入られ、早速練習試合に参加する。
あとはもう、泥だらけのもみ合いへしあいだ。
馬や豚じゃあるまいしなぜこの俺が泥まみれに・・くっ。
ようやく苦痛から解放され、シャワーを浴び
部室へと戻っていった。
因みにジョジョの奴は後片付けで少し遅れるそうだ。

そしてここは部室の中。

・・・・俺は筋肉質の体は別に嫌いではない。
むしろ美しいとさえ思っている。
そうでなければ自分も筋肉質にならないし
ジョジョをコマしたいと思ったりはしない。

だが筋肉質であれば誰でも美しいと思うのではなく
若さに加え肌の美しさ、体毛の薄さ、整ったスタイルに
なにより顔の造りの美しさ、それが揃ったものだけが
美しいと感じるわけであって・・・つまりはだ・・・。

・・・・・むさい!

俺は今筋肉に囲まれている。
だがどいつもこいつも美しくない。
筋肉は筋肉でも定規で適当にかいたような
カクカクごつごつとした筋肉。
顔は悪い、体毛は濃い、短い足に
アンバランスな体型。
よりによってジョジョの奴がまだ戻っていないので
目の逃げどころがどこにもない。
右にも左も前も後ろも筋肉筋肉筋肉。

「ディオ君!君をジョジョに紹介してもらって
 よかったよ。」

「そう言ってもらえると光栄です。
 (気安く触るんじゃあない!)」

バシバシと遠慮なく人の背中を叩く先輩に
怒りを覚えながらも今日何回になるか判らない
作り笑顔で人当たりのいい後輩を演じる

「君ももっとがっちりしないとね。
 ジョジョにもそういっといたんだよ。」

「そうなんですか・・。(貴様かー!!)

「おまたせ、ディオ。」

「ジョジョ、待ちわびたよ。さ、帰ろう。

俺は自分が思っている以上に余程ここにいたくないらしい。
まだ服を脱ぎきっていないジョジョの傍に近寄り
帰宅を促す。

え?僕まだ着替えてないんだけど・・。

「(はよ着替えろや!)ごめんごめんつい・・。」

「ディオ!自分で着替えられるってば・・ちょ・・。
 ちっちゃい子じゃないんだから自分で脱げるってば!」

とろとろと脱ごうとしているジョジョの服を
ぐいぐいとひっぱる、まったくこのどんくさめ。

「首が引っかかっているんだよ。お前ら
 面白い奴らだな!ははは。
 おっ、少し肉厚になってきたじゃないか。
 どうれ・・・。」

「わあっ!変なところ握らないでください!」

「いいじゃないか、異性にじゃないんだから。
 ほれっ。」

いきなり俺の隣にいた先輩がジョジョの尻を揉み
次はジョジョの尻を挨拶代わりに引っぱたく。
パーンと小気味良い音があたりに響き
他の部員達がどっと笑う。

「いったーー!」

「ははは、いい音がしたね。
こいつ・・・勝手にジョジョの尻を揉んだり
 叩いたり・・・・俺だけの特権を・・・
 おのれ・・・。隙があったら殺そう・・。)」

湧き上がる殺意を押さえながら俺は愛想笑いをする。
そして俺はジョジョを引きずるようにして帰路につく。
ああ・・・何だというのだこの疲労感は。
スポーツの後は爽やかな気分になれるとか
皆はいっているが、どこがなのだ。

そして夜、俺はジョジョの尻をムチでひっぱたく夢を見る。
・・・ちっ、夢かつまらん、いずれ現実にしてやるからな。
それはそうと今日が祝日で良かった。
はっきり言って筋肉疲れだ(視覚的な意味で)
少し休みたいのが俺の本音だ。

そして数日後予期していた出来事が俺を襲う。

「くっ・・・ふんっ・・・。」

・・・入らないのだ、今まではけていたズボンが全て。
この前女の所にお忍びにいったときも言われた
「ディオ様前より重くなったわ。」・・・と。
判っている、別にスタイルが不恰好なのではない。
太ったのではなくがっちりしてきたのだ。
ぶよぶよとした脂肪ではないのだから恥じる事などない。
・・・ないのだが・・・全然喜べない自分がいる。
そういえばジョジョの奴もズボンがはけなくなったと
明るく笑い飛ばしていたな。
今のジョジョは俺より重くなっている。
見た目では俺達は判らないが、目方は確かに
俺達の重さの比較をはじき出している。

確かあいつはいま百五キロになったと言っていたな。
しかも恐ろしい事にまだ足りないかななどとほざいていた。
・・・もう限界だ、あいつがというより俺がこれ以上
大きくなってしまうのが・・・。

今まであいつに負けまいと食いに食ってきたが
これ以上は無理だ。
だが差をつけられたくないのは変わらない。
つまりは、ジョジョにこれ以上食わせないように
しなくてはならないと言う事だ。

どうする?どうしたら食わなくなるだろう。
下剤でも仕込むか?だが断続的に使うと
怪しまれるので一時的にしか使えない。

なら精神的に追い詰めるのはどうだろう。
昔のようにあからさまに嫌がらせするのではなく、
自分で気づかせて悩ませればいいのではないだろうか。
そうだなとりあえず・・・俺はナイフを取り出し
早速工作を開始した。
そして朝飯を食べるべく食堂へ向かう。

「ディオおはよう。」

「おはようジョジョ。」

「よーし・・・今日も食べるぞー!」

はりきりながらジョジョが席に腰掛けた途端・・。
バキッと何がが砕ける音がしてジョジョは
椅子と共に盛大にしりもちをついた。

「いてっ!!」

「ぼ・・ぼっちゃま!大丈夫でございますか!?」

ジョジョがいきなりこけたので慌てて
小間使いたちが傍に駆け寄る。
砕けたいすのそばで顔をしかめ、ジョジョが
尻をさすって苦笑いをする。

「あははは・・・大丈夫・・・傷んでいたのかな?」

すぐに執事が他の椅子を持ってきて
ジョジョを座らせる。
その前に間一髪俺がわざとらしく忠告をする。

「ジョジョ・・・大丈夫?もう壊れないよね?
 君最近体重が増えたから・・。
 重みで壊れたんじゃないかな・・・。
 いや・・・ゴメンね。そんな訳ないか。」

「い・・・いやだなーそんなわけないよ。
 いじわるだなーディオは・・・。」

少し口を尖らせながらも、恐る恐る椅子に座る
ジョジョをみて俺は手ごたえを感じる。
よしうまくいった、次のステップだ。
時刻は昼時、俺はジョジョにランチをどうかと誘う。
最近食うのが好きなジョジョは勿論よろこんで
俺の誘いを受けるが、俺が入ったのは
女が好むような、量より質なカフェテリアだった。

「おいしいね。美味しいけど・・・。」

あっという間に完食し追加を頼むジョジョ。
この手の店は量がとても少ない。
今のジョジョにとっては間食にすらならないだろう。
幾ら食べても食べても満足はしないだろうな。

「ゴメンね、こういうところで、でも俺最近
 目方が増えたから・・・食べ過ぎないように
 注意したいんだ。」

「え?そうかい?べつに「太った」っていう
 イメージはないよ?」

もぐもぐと飯を頬張りながら俺の上から下まで
じっくりと眺めるジョジョ。
眺めるのはかまわんが飯を飲み込んでからに
してほしいものだ、こいつは本当に躾や作法がなってない。
作法はともかく躾はいずれ俺がたっぷりしてやるからな。

「確かにおなかは出てないし、二重顎になってる
 訳じゃないけどね・・・女性はシビアなんだよ。
 男性の体重にね。」

「・・・まさか女性に言われたの?」

「うん、実はふられちゃってね・・・大きい人は嫌って。」

「え!?君が振られることってあるの?
 それより女の子ってシビアなんだね・・・。
 でも気にしないで、君の魅力を判ってくれる人は
 きっと他にも一杯いるから・・・。」

いきなり大きなお世話をかましてくるジョジョに
俺は引きつりそうになりながらも笑顔を作る。
勿論こいつなりの優しさなのだろうが
俺が本当に女に振られたと思っている所が気に食わん。
俺が振られる訳ないだろう?
今のは遠まわしにお前に
もてないぞ、だから大きくなるな」といいたかっただけだ。

「有難う・・・でも、だからこそ君のことも心配でさ、
 君も「大きい」からね、女の子に敬遠されちゃったら
 かわいそうだなと思って・・・。」

「そ・・そりゃ僕はまだ彼女はいないけど・・・・。
 でも男って、いや女性もだけど見た目は関係ないと
 思うんだ。それにね、ラグビー部の先輩って
 あんなに体大きいけど彼女いる人多いんだよ?
 だから全ての女性が体の大きい男性が嫌いって
 訳じゃないんだよ。」

他に男がいないんだろうよ。

「へっ?」

「ううん何にも。でもそうか、
 ジョジョは彼女いないのか(知ってるけど
 でもいずれは作るんだろ?その時はやっぱり結婚するの?」

「うん、素敵な人がいればね、子供も作って幸せな
 家庭をきずきたいとも思っているよ。」

ジョジョはそう言って空を仰ぐ。
きっと空に自分の明るい家族像を描いて
悦に浸ってるのだろう、だがしかし
それは無理だな、お前は俺の性奴隷になるから。
だが、確かにこいつは我が子をこよなく愛しそうだ。
ああ、ならいい脅し文句があるな、よし言ってみよう。

「君の遺伝なら素晴らしい子供が生まれるよ。
 ・・・・あ、そうそう遺伝と言えば・・・・
 ジョジョ君持病はないよね。」

「え?ないと思うよ?お医者から聞いたことないし。」

「良かった、実は遺伝する持病があるって聞いてね。
 その病気は食べ過ぎの人がなる恐ろしい病気なんだ。
 その病気を持った遺伝の子は一生薬なしでは
 生きられなくなるんだって・・・。」

「たべすぎって・・そうは言ってもやっぱり太った
 人の事を言っているんだろ?」

軽く笑い飛ばすジョジョだが、
内心はヒヤリとしているんだろう。
長い付き合いだ、笑い方で判る。

「ううん、それがね、太った人よりも太ったって
 判らない人のほうがなりやすいんだって。
 こんなこと言って君を不安がらせたくないんだけど
 体育会系の人が一番なりやすいんだってさ。
 体育会系の人って食べるけど運動しているから
 大丈夫って思い込んでいるじゃない。
 そこが危ないんだってさ・・・・。」

「・・・そ・・・そうなの・・・?」

ジョジョのテンションが明らかに下がる。
因みに俺のいっている事はちゃんと根拠もある。
ジョジョといえば素直に信じ込んでいるんだろう
押し黙って俯いてしまった。

「何事も程々がいいってことなのかもね。
 過信は禁物だよね、ところでおかわり追加する?」

わざと俺はジョジョに尋ねる、勿論嫌味アンド意地悪でだ。

「え・・・?い・・いや、いいや。
 きりがないから・・・へへ・・ご馳走様!」

そう言うとジョジョは口元を拭き、水で口をすすぐ。
よーしいい子だ、食べるなんていってたら
どつきたおしてやるところだったぞ。

「そうだね・・・君のその体は
 もう十分すぎるくらいだと思うよ?
 それに・・・あんまり大きいと女性が困るぞ?」

「え・・?なんで・・?」

「なんでって・・・子作りするときや
 愛の営みするときに圧し掛かるじゃないか。
 あんまり重いと女の人が潰されちゃうぞ。」

それを言ったと同時にジョジョがバランスを崩し
席ごと後ろに倒れこむ。
ついでに倒れたときに頭を打ったようで
頭の上に星がいくつか飛んでいた。

「有難うございました。あの・・お連れ様大丈夫でしょうか。」

「ウン大丈夫、ちょっと刺激的なことがあって
 気絶しちゃっただけだから。
 有難う、美味しかったよ。」

俺は色々なショックで気絶したジョジョをおぶり家へと帰る。
ふん、初心なやつめ、しかし・・・おもい・・。
俺にこんな苦労させやがって・・・。
この借りは後々にお前の体で返して貰うからな。

夜ジョジョの心にやっと変化があったようだ。
お世辞にも少ないとはいえない食事量ではあるが
いつものようにバカ食いはしなくなった。

フーやれやれ・・・これで俺もこれ以上
太らなくてすむ・・。
あ、そうそう最後の詰めが残っていたな。
俺はジョジョが本を読んでゆっくりしている隙に、早速行動に
移るべく変装して、とある場所に赴いていった。

そして次の朝、俺とジョジョは「軽い」朝食を
済ませ大学へと行く、そしてそこには
ジョジョにとって予期せぬ事態が待ち受けていた。

「えーーー先輩達が!?」

「そうなんだよ・・・命だけは取りとめた
 らしいんだけど・・・。」

仲間の話では、体の大きな先輩達が
つり橋を渡っている最中に橋が壊れ
皆仲良くがけ下に転落してしまったということだ。
幸いにも鍛えていたので命には別状はないようなのだが
大怪我をおい、クラブ復帰は当分無理だと言う。
それはそうだろうな、俺が仕組んだんだから。

「怖いなぁ・・・つり橋が傷んでたんだろうか・・?」

ジョジョはあくまでも重さのことに触れたくないようだが
こいつの気遣いなのだろうかそれとも、
自分が重いということをまだ認めたくないのだろうか。
俺がまたそれなりに言ってやらねば判らんのか全く。
だがそう思い口を開こうとすると同輩達が
俺のかわりに口を開く。

「いや・・・管理人はいつも点検しているから
 そんなことはないって言ってるんだ。
 多分先輩達の体重を橋が支えられなかったんだろうって。」

「みんな大きい先輩達だったからな・・・おれも
 最近大きくなってきたし・・気をつけようかな。
 ジョジョも気をつけろよ?」

そう言って二人ともジョジョを見る。
ジョジョは気まずそうに顔を伏せる。
よし!偉いぞ貴様ら、褒めてやろう、心の中で。

「う・・・うん・・実はディオともそう話してたんだ。」

「程々がいいんだよ何事もね。」

そう言って励ますように俺はジョジョの肩をたたく。
もう内心ニヤニヤがとまらない。
どこか人気のない所に行って高笑いしたい気分だ。
それ以来ジョジョは体重は減らさないものの
それ以上大きくなろうとはしなくなった。
本当は少し減らして欲しいが、まあいいだろう。
どうせいずれ時がたてば、圧し掛かるのは俺のほうだし
こいつに騎乗位をさせるのはもっと後になるだろうし・・

だが力は無論こいつよりはあった方がいいな。
何とか手っ取り早く力を手に入れる方法はないものだろうか。




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